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tern Verge X30h SRAM DD3 の修理依頼(組立編)【橋輪Blog】

tern Verge X30h SRAM DD3 の修理依頼(組立編)

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機能部品が復活したところで全てのパーツを洗浄して組み立てていきます。アクスルシャフトは中央部分を除きほぼ全ネジなので組付け位置に注意が必要です。

右からロックナット、ネジなし玉押し、フリボディーから覗くボールベアリング小、その内側にシールドベアリング、ボールベアリング大、同じく小、ネジあり玉押し、ロックナットとなります。

今回組付け説明なのでドライ状態ですが、当然実際には、オイル、グリスを塗布します。


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ハブ両側にボールレース。



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アクスルシャフトには、ギヤセレクターロッド。i3 の時ワイヤーで引いていたのと同じです。



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これはマイナスドライバーでキュッと締めておきましょう。



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プラネタリギヤユニットを入れ、



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C クリップ。



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スプリング。


ここで注意点!

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スプリングは、ネジあり玉押しでプラネタリギヤユニットを右に押します。



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玉押しをどんどん締めていくとプラネタリギヤユニットがハブの底に触ってしまいます。1回転程戻して離れた状態。


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ロックナットを掛けてシャフトの出代を測ります。



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最終アッセンンブリー後にこの数値よりシャフトが出てなければ触ってない証拠となります。



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次にフリボディー側の注意点。



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フリーボディーの中のシールドベアリングは、どこでもスライドできます。



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ネジなし玉押しは、



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段付きまで行ってロックナットで締め付けます。まーこっちを先に決めれば、先ほどの数値は気にしなくて良いですが、一応!でもここを押さえておかないとハブにガタが出たり、またはクランク逆回転でフリーが重いハブとなります。



組付けの続きです

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スラストワッシャーを入れて、



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トルククラッチ、トップギヤセレクタリング(これも i3 の時勝手に命名)の順に組付けます。



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そして長スプリング。これは、外装ディレーラーのリターンスプリングと同じでシフトアップの際トップギヤセレクタリングを押し下げる役目。


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プラネタリギヤハウジング、



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ボールベアリング大、



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フリーボディー、



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ネジなし玉押し、



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ロックナット、



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ユニットを一体化します。



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ユニットをハブに挿入。



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ネジあり玉押し、



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最後に入念に玉押し調整をし最高の回転を目指しましょう。



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これでアッセンブリー完了!



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tern Verge X30h SRAM DD3 内装ハブ修理承ります!

変速機構を詳しく知りたい方は、⇒ こちら

結構難しいよ!



tern Verge X30h SRAM DD3 の修理依頼(その3)【橋輪Blog】

tern Verge X30h SRAM DD3 の修理依頼(その3)

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そして待つこと数日。特注したコイル径1.1mm 以内のガーターばねが届いた。よくぞこんなに細いものが作れるものだ。輪にするつなぎ目はどうなってるんだろう。それより数百本、いや数千本の単位での取引をされている会社だと思われるが、こんなわがままなしかも10本単位でのめんどくさい注文によくぞ答ええてくれたものだ。感謝しかない。でもまだ請求書が同封されてないので、ちと怖いが。

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完璧を期してプラネタリギヤユニット側の大きい方も発注した。これで10台分。



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コイル径は、どちらも極細の1.07mm。



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環内径は、23mm と



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29mm。



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早速組付けてみよう。



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フリーボディー側は、23mm。



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完璧です。



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プラネタリギヤユニット側は、29mm。



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環内径もドンぴしゃ。



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これで救えるぞ!tern Verge X30h

明日は、組立編を




tern Verge X30h SRAM DD3 の修理依頼(その2)【橋輪Blog】

tern Verge X30h SRAM DD3 の修理依頼(その2)

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上写真のプラネタリギヤユニットに付いているガーターばねは全くの無傷なのにフリーボディー側のガーターばねばかりが破損するのかって訳は、その作動(伸び縮み)回数に雲泥の差があるからです。

プラネタリギヤユニットの爪は、3速トップギヤの時だけパチパチと動いていてフリーボディーの方は、作用(爪が掛かってスプリングが動かない状態)しているのは、1速ローギヤの時だけで、2速ミドルギヤと3速トップでは、常にパチパチと動いています。

フロントトリプルギヤクランクに例えると、ずーとインナーギヤを使ってることはないしトップギヤに入れっぱなしってこともないからミドルギヤを多用する時間が長いと思います。この時間帯は、フリーボディーの爪だけが、ずーっとパチパチなっているわけです。


説明は、こちらで ⇒ OX PECO の SRAM i-3 変速不良(その8)


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プラネタリギヤユニットの分解洗浄点検異常なし。



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ドライの状態で組付けておきます。



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でもって届いたのが、こちらのサンプル。なんと微妙にコイル径、環内径の違うものを5本ずつ4種類送って頂きました。これら全て在庫があったものだそうです。凄い!


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測定結果がこちら。Cのみステンレス製でA B D がスチールの鋼線。



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爪の割が1.54mm なので全てが適合だが、



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B は、ちょっと固いかな。



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コイル径、1.20mm の環内径24mm、一番バネ定数の低いCをチョイス。



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全く問題ないが爪を動かしてみると、



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爪を倒すとスプリングがはみ出るような?



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右のプラネタリギヤハウジング(こちらも i3 の時に勝手に命名)に触るんじゃないかな?


爪が最大どの程度まで倒れるのかわからないのとプラネタリギヤハウジングは、軸受けに固定されいないため多少のブレがある。やはり触るかも?やっぱりオリジナルのコイル径1.1mm には意味があるのかも?そしてコイル径1.1mm までのガーターばねを特注するのです。

明日につづく、




tern Verge X30h SRAM DD3 の修理依頼【橋輪Blog】

tern Verge X30h SRAM DD3 の修理依頼

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「懐かしいですね」SRAM DD3 内装3段ハブに外装10速を装着した tern Verge X30h です。2012年デビューの X30h ですが、ブラックの limited カラーですから2015年モデルですね。ハブだけ考えると27速時代の DAHON Vector X27h / SPEED PRO TT までさかのぼります。

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今となっては、製造を中止した SRAM DD3 の内装変速が機能しなくなり走行不能となったそうです。



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早速フリーハブを外してみると原因が現れました。



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フリー爪をホールドしている細いエキスパンダスプリングが切れています。以前修理した SRAM i3 と違い爪に損傷がないのは、上に見える樹脂のリングが、爪が外部に飛び出すのを防止ているのと、


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ハウジング内のギザギザ内部に収まっているからです。



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ここにいたはずです。



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仮に輪ゴムをはめてみました。



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エキスパンダースプリングは、爪をホールドするというか爪を立てる働きをしているので強い力は掛かっていないためピッタリサイズの輪ゴムであれば走行可能となりますが、30km 走行毎に輪ゴムの交換となるでしょう。


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エキスパンダースプリングのいた溝は、外径約26mm。



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でもって爪の割が1.54mm ですから、これより細いコイル径のものが必要です。



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ハブ単体でストックしていた DD3 を開けてみると、



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こちらも同じようにエキスパンダースプリングが切れていました。



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伸びてはいますが全長約80mm でコイル径約1.1mm の線径約0.18mm。



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輪にしてみるとΦ25mm。(環内径と呼ぶらしい)こんなものあるだろうか。



こんなもの昔触ったことがあるなと思い出したのが、モーターサイクルの4気筒キャブレターとエアクリーナーボックスを繋ぐダクトに付いていたエキスパンダスプリング。調べてみると「ガーターばね」と言うらしい。早速 Monotaro / MISUMI 等で探してみると最小線径が0.35mm までしかない。どうやら工業規格でこれが一番細いのかもしれない。

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試しに Monotaro から取り寄せてみたが、太すぎてお話になりません。



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ついでに合いそうな C クリップも取ってみた。



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問題は、この合口隙間。



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溝にはまって、



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爪をちゃんと立たせて機能しているが、



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合口隙間を爪に掛からないところにセットするもの、



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ラチェットに組んで数回回してみると案の定爪の部分に移動していた。これでは、4つある爪の内一つが機能しません。


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更に分解を進めると一番奥にももう一つフリー爪がある。i3 の時にプラネタリギヤユニットと命名した部品で、ここにもエキスパンダースプリングを使っているが、全くの無傷。この訳は、次回に。


これはもう修理不可能か?構造上フリー爪は破損しないのに、スプリングばね1本で走れなくなっているものは沢山あるはず。諦めかけていたところ、こんな特殊なガーターばねを扱う会社を日本国内で見つけたのです。

明日につづく、




Verge D9 にグラベルコンポ GRX(その4)【橋輪Blog】

Verge D9 にグラベルコンポ GRX(その4)

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未知のグラベルコンポ Shimano GRX。何となく分かっているのは、シリーズ全てが油圧ブレーキぐらい。ラインナップを見ても全く訳わからないので、クランクセット、ブレーキキャリパー、サブブレーキレバーを除いて自分なりに表にしてみた。品番は、STI(ハイドロリックデュアルコントロールレバー)、FD(フロントディレイラー)、RD(リヤディレーラー)、その RD で動かせる最大ロースプロケット歯数の順で並べた。

すると意外と単純なことが分かった。800シリーズは、11速で機械式と Di2 が選べ、それぞれ2種類のキャパシティーを持つリヤディレーラーが存在する。600シリーズも11速だが、STI しかないので800の FD / RD と組み合わせて使うみたい。では、同じ11速 STI で800と600は、何が違うかっていうと例えば、ロードコンポの DURA-ACE / ULTEGRA 的なグレードの差みたい。そして400シリーズは、独立した10速コンポーネントだ。

今回最大スプロケット歯数42T が、絶対条件なので
のパーツをチョイスした。

            GRX

 STI                      FD                        RD         最大ローギヤ

800 シリーズ(11 Speed)
ST-RX815 Di2    FD-RX815 Di2    RD-RX815 Di2    34T
                                                       RD-RX817 Di2   42T
ST-RX810          FD-RX810           RD-RX810          34T
                                                       RD-RX812          42T


600 シリーズ(11 Speed)
ST-RX600            ----------              ----------                 ----


400 シリーズ(10 Speed)
ST-RX400          FD-RX400            RD-RX400         36T



スクリーンショット (59)
後はスプロケットだが、GRX にスプロケットのラインナップはなかったので、グラベルリヤ駆動系の互換チャートを見てみた。



スクリーンショット (59) - コピー
拡大すると、1×11 に 42T まで使える RD-RX812 が出てきた。その右のスプロケットを見ると CS-M8000-11、CS-M7000-11、CS-M5100-11 とある。8000、7000 の 11-42T は、シマノに欠品中だったので、在庫のあるCS-M5100-11 11-42T しか選択肢はなかったってとこ。



1

最後にもう一つ。D9 オリジナルのブレーキキャリパー BR-M315 は、MTB コンポのため GRX と互換性がない。今度は、油圧システムグラベル互換チャートを見る。



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左の ST-RX600 から右のブレーキキャリパー。赤のアンダーラインの BR-RS785 のみポストマウントで、その他は全てフラットマウント。こちらも BR-RS785 のみの選択肢となる。



GRX 何となくお判りいただけたでしょうか。また勉強しちったな。

明日につづく、


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