”MASI 俊樹”流学33日目(俊樹、豪邸招かれる)
重たげな雲が広がっている。
こりゃ今日は雨かな〜
早めに寝るところを見つけねば。
昼前にブリュッセルにたどり着いた。
厚い雲に日差しを遮られ、街はどんよりと薄暗い。
密集した古いビルや、なんとなく陰気な人々。
なにより顔に生々しい傷を残して道端に寝ているホームレス風の男を見た時は怖かった。
この街はやべぇ、一刻も早く出なきゃ。
ペダルを踏む足にも力が入った。
川沿いの道を走り、見つけた噴水で顔を頭を洗う。
ベンチに腰かけてパンと缶詰を食う。
郊外に出たおかげか、怖そうな人もビルもなくなり、恐怖心も消えた。
ぼんやりと飯を食っていると一人のおっさんが近寄ってきた。
またゲイ野郎だったらどうしよう。
警戒しながら話す。
ちょっと君の写真をとらせてくれないか?
うっわこえぇ!
けれども何枚か写真を撮らせてあげて、ついでに道を訊いてみた。(ちなみにやたらこだわりがあるらしく遠くを見ろだの顎を引けだのうるさかった(笑)
すると、彼は「スーパーに行かねばならんのだがまあいいか」と道案内してくれることに。
「ちょっと家によっていいかい?」
と彼は道を変える。
(えっ!?家に連れ込まれて犯されるのかオレ!?)
と内心ドキドキだったのだが、開かれたドアから奥さん登場で安心した。
まあまあ入りたまえと庭に案内される。
こいつ何者なんだ!?
プールわきのシャワーを浴びさせてもらい、洗濯物はある?とかなにか食べていく?とかものすごくよくしてくれる。
すこしすると娘さんが子供を連れて登場し、もうひと家族も来てみんなで昼食タイムが始まった。
食卓に並んだ中華料理を馬のように食う。
娘さんがまだ小さい子供にもやしのことを中華のパスタよと説明しているシーンは笑いをこらえるのが大変だった。
文化の差にしてもおもしろすぎる!
食事を終えて孫たちがプールで遊んでいるのをみんなで眺めていると、奥さんが何やら熱心に語りかけてくる。
「明日はベルギーにとってとってもスペシャルな日なのよ。本当に特別な日なの。」
ベルギーでは公用語がフランス語とフレマン語(オランダ語?)なので英語は流暢ではないのだが、奥さんはゆっくりと熱心に話してくれる。
なんたる奇跡!風呂と飯だけじゃなくて、宿泊まで!しかも王様が変わるだと!?
なんの情報もなくしかもいつ入国したかもわからないで訪問したのにすげぇ!
しかも、王様が亡くなっていないのに交代するのははじめてのことだとか。
「おお!ミラクルっす!ぜひそうさせてもらいます!」
嬉々として部屋に案内され、夜飯までひたすらブログを書いた。
いい匂いがしてきたので、庭に出ていき、ご飯を頂く。
ビールにワインもいただいて気分は最高。
食事を終え、娘たちが帰っていく。
日が暮れた後、旦那さんの運転で街に出ることに。
完全なる飲酒運転の上にアクセルの踏み込みが強すぎる彼の運転にはかつてないスリルを味わった。
車を止めて街のバーでさらにビールをもう一杯。
ベルギーでは未成年者に酒を売る輩が多いらしくけっこう問題になってる等々教えてもらえた。
そんなことより飲酒運転はいいんすか・・・|д゜)
帰りもなかなかのスリルを味わいながら帰宅。
ベッドにたどり着くとすぐに眠ってしまった。
思いがけず幸福な夜になり、朝までぐっすりと眠った。
(33日目 走行距離50kmくらい)

