頭がガーミン

最近はやりのスマートライト:Garmin Varia UT800+【橋輪blog】

みなさま、こんにちは。Yuboです。


今回は最近はやりのスマートライトを取り上げてみたいと思います。

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自転車のスマートライトといってもイメージがわかないかも知れませんが、私の知っている限りでその特徴をあげるとすれば、周辺から得られる情報に応じて、光量や点滅速度が切り替えられること、何らかのネットワークにつながっていること、機能の一部がソフトウェアされていてアップグレードされること、などでしょうか。

おまけとして本記事の末尾に掲載しているライトでは、もはや単なるライトとしての機能を超える付加価値が付いていたりもするので、その意味では最近のスマートライトは、前方/後方から得られる情報をどう処理してこれを付加価値に変えていくか、という汎用的なデバイスとして生まれ変わりつつあります。

私自身は、Garmin のリリースニュースを見て、(いつものことですが)ほぼ衝動買いに近い形で、UT800 を注文してしまいました。ですが、実際にモノが届いて橋輪さんに引き取りにいったときのファーストインプレッションは、「あー、またやってしまった。。。」でした。なにしろ箱を持ったときの印象が、うぅ、やたら重いでしたから。

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考えてみれば注文したのが去年の暮れで、そして届いたのが2月のことでしたので、およそ一ヶ月を経る間に何に魅力を感じて発注したのかすら忘れかけてしまっていたわけです。名前に「スマート」とついていれば何でも良かったような気がします。

とはいえ、やはり物理的な側面についても無関心なわけではありませんでした。同じモノならもちろん軽い方がいいに決まっています。それまで使っていたのがキャットアイVOLT300だったのですが、とくに不満を感じていたわけではありません。一つのポイントとなったのは、Garmin のサイコンと一体型になっているマウントでした。
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想像していたとおり、メーカー純正品を含めて一般に販売されているマウントより若干大きく、マウント部の底面は別の造りになっています。これぐらいの大きさであれば、重さの差はほとんど感じません。
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ここに特殊な形状をしたアダプターをはめ込んで、
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ライトにとりつけ
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(マウントの固定に大きめのネジが使われていることが気になります。。)
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これをさらにマウントに取り付ける形になります。
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この冗長な組み付け方により、ハンドルバーに取り付けられたマウントを固定したまま、ライトの角度を変更できる他、取り外しも自由に行えるわけですが、取り付け方が独特でライトを回転させて取り付けるのではなく、上下にとがった突起部分を掴んで気持ち20〜30度くらい回して固定します。これは Garmin の標準的なマウントが 90度回転させて取り付ける仕様となっているのとは異なります。

しっかり固定されているようには思えますが、今後長く使っていく過程で、荒れた路面を走ったりしてもはずれないかどうかは試してみないと分かりません。製品紹介ビデオなどを見る限り、オフロードでの利用が想定されているようで、その点は心配ないかも知れません。

ただ、土の上に落としてもこのライトは壊れないでしょうが、堅いコンクリートやアスファルトの路面で走行中に落下させたら、すぐにお釈迦になってしまいそうな気がします。これも従来のライトであればあまり気にならなかったことですが、「スマート」になった分、外見は多少傷付いただけでも中味だけ壊れるという形で耐衝撃性が失われてしまうとか、余計な心配事が増えたことは間違いありません。

そこで、とりあえずメーカー公称値としての重量を改めて確認してみたのですが、箱に書いてあるとおり130gとなっています。ここでもう一つの購入動機が、現在使っているVOLTの最新版VOLT800の重量140gよりも10g軽いことにあったことを思い出しました。そこで、さっそく計量してみます。

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VOLT300のメーカー公称値は120gなので妥当でしょう
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主に取り外す部分として比較した場合、40g近くUT800の方が重いですね。もしかするとVOLT300の方は、マウントを含めた重量なのかも知れません。これはかなり残念なポイントでしたが、軽さだけを重視するならVOLT300の方に当然軍配が上がるでしょう。

これだけでは物言いがつきそうなので、もっとイーブンな条件で改めて比較してみることにしましょう。本来比較すべきは同じ明るさのVOLT800の方なので、比較対象の重さを116+20=136gと仮定した場合、ここでポイントとなるのは差分の17gの付加価値がUT800に見いだせるかどうかです。

気を取り直して本体の方を確認してみましょう。

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上下どちらに付けてもGARMINのロゴが逆さまにならないのはデザインとして評価できます。
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背面はまあ想像通りでしょう。
VOLT シリーズのバッテリーが脱着式なのに対して、UT800は内蔵式です。そのため SONY のアクションカムのように、給電しながら使用できると嬉しいのですが、それはまた別途要検証です。
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この部分は従来のVariaシリーズと互換性があるようなので、付けっぱなしにしてもよいのであれば、これまでのVaria互換マウントがそのまま使えるようです。その場合の難点は、ワンタッチで付け外しができないことですが、少しでも軽量化したい場合や、盗難が心配な場合は、直付けの方がいいかも知れません。
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充電中はグリーンライトが点滅します。ステータスは点灯方式(常時点灯、点滅など)と色(レッド、グリーン、パープル、ブルー)の組合せで表示されますが、詳細については下記のページをご確認ください。
Bike Light Status LEDs

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とりあえずハンドルバーに取り付けてみました。私のロードのステムは幅広タイプで、しかもハンドルがエアロ形状、おまけに固定の仕方が独自ネジなのでフロントにネジもありません。ですがこれだけマウントの取り付けスペースが少ない場所でも運良くしっかり固定することができました。

サイコンとのペアリングすませて使い勝手を確認してみました。すると、LEDがなにやらピカピカ光っている様子です。

サイコンの電源を入れてみたところ、おおっ!

連動してライトがONになるではないですか!まるで車のエンジンをかけたときのようです。これは所有感が増します。次に、気になったのは電源オフ時どうなるかでしたが、
 
以前から使っているVaria Rear Radarと同様に、同時に電源が落ちました。これはGarmin純正ならではの機能ですね。
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走行中もサイコンにバッテリー残量が表示されるので、管理上はまったく問題なさそうです。

実際に走ってみると、設定次第では昼間でもトンネル進入時にライトが点滅から点灯に切り替わったりもするので、昼間ですとわざわざこれがしたくてトンネルを好んで走りたくなるくらいです(切り替わるタイミングは車ほどタイムリーではないですが)。

余談ですが、私が昼間トンネルに入って怖いと思うもう一つの理由は、とりわけサングラスをしているときですが、一瞬で視界が暗闇になってしまうことです。これについては、調光グラスを利用するなどの対策が有効であると思っていますが、こちらは物理的にスマートになっているともいえるでしょう。

いずれにしても、周辺の状況(英語ではambientとかcontextとか言いますが、ピンと来ませんね)に併せてスマートに光量や点灯方法を調整してくれることが分かりました。これは外部からの情報に対しリアクティブに機能を変化させる例と言えるでしょう。

別の例としては、記憶はおぼろげですが、確かリオ・オリンピックでSpecializedかどこかのチームが、温度差に応じてロードバイクのフレームの色を変化させる塗装が施されているものがありましたね。こちらも目に見えない情報を視覚化する例ですが、このように自転車を取り巻く情報に対する「スマート」な機能も多様化しつつあると言えます。

お話しをUT800に戻すと、一つ気になったことは、先ほど動画で示したような形で、ブルーに点滅して待ち受け状態になっているときと、ライトの電源を完全に落としたときとで、バッテリーの減り具合が
どれくらい変わってくるのかだったのですが、私が調べた限りでは、これに関する情報は見つかりませんでした。

Headlight Light Intensity Modes and Battery Life

以上、掻い摘まんでUT800の機能をレビューさせて頂きましたが、正直な感想としてこのライトの特徴はGarminのサイコンと設置場所が統合され、これと連動することに尽きるので、それを期待されている方にはお勧めできます。私的には重さなど忘れてしまうくらい、むしろ昼間でも夜間でも常時付けたままにしておきたい必須アイテムとなりつつあります。

既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、ambientに連動して光量や点灯方法を切り替えられるライトは、UT800独自の機能ではなく、他にもいくつか商品化されています。むしろ時勢としてはGarminが満を持してこのような商品をリリースしたという感があり、単なるスマートライトと呼ばれるだけには止まらないような気がしています。

たとえば、UT800というかGarminに期待していることがありまして、それは前方のスマート化だけでなく、後方もスマート化してもらうことです。動画でとりあげたリアビューレーダーはライバル商品がほぼないに等しく、現状のものでも洗練されたデバイスではあります。

しかし、Garminがデバイスのスマート化に踏み込むのであれば、将来のファームウェアアップデートないしは次のバージョンで、UT800同様に速度の連動してライトを変化させるようにしてほしいと思っています。

先ほど動画でとりあげた、Garmin Rear Radarの最大の特徴は、後方から接近してくる物体の距離を乗り手にビジュアルに表示してくれることにあるにあります。今のところ後方から接近している物体(車等)に対して、より接近した際に点滅速度を上げる、という反応はしてくれるものの、自転車の速度に応じてライトの表示方法を切り替える機能は備えていません。つまり、後方から接近する側には、距離が近づいていることは認識できるのですが、自転車が減速しているという情報が伝達できないのです。

望むらくは、車のブレーキランプのように、自転車の減速時にテールライトの表示が点滅から点灯に切り替わることですが、技術的には加速度センサーさえ付いていれば難しいことではないと思います。また
集団走行時に後方に片手でハンドサインを送るという原始的な信号は、ある意味とても危険な手段ですので、まだまだテクロノジーで改善できる余地があると思っています。

個人的にはUT800がサイコンに接続された際に、「接続を確立」するという表現ではなく「ライトネットワークに接続」するという表現になっていることがとても気になっています。これはGarmin Edgeを中心にフロントライトだけでなく、他のライトもネットワークに参加できるなるようになることの予兆なのか、その真相については近い将来のアップデートに期待したいところです。

〔その他のいけてるスマートライト〕
加速度センサーと連動して、(急?)減速時にブレーキランプのように点灯したライトが変化する機能を備えているようです。
盗難アラートなど、スマホと連動して様々な機能を備えたクールなライト。機能については、こちらのページが参考になります。

See.Sense Icon rear light

ライトそのものに、警報を発する機能はないようですが、将来こういう商品が普及して「See.Sence」=> 「Be.Secure」として認知されると、SECOMのシールみたいに貼るだけで盗難予防効果が得られそうです。その意味では、シールのデザインも従来の堅牢なイメージのものよりも、直感的に「スマート」さを感じさせるものである必要もあるでしょう。このあたりになってくると、人と物とが直接対話して「スマート」さを競うレベルになってきますね。

スマートライトは、デバイス自体が知性を持っているかのように、ユーザに対して自律的に振る舞うものだと考えていますが、これまで単なるライトに過ぎなかったモノが、様々な形で魅力的なデバイスに成長してきている姿を目にするのは、一人のガジェット好きとしてはとても楽しみなことです。

インドのスラム街からSRAMへの旅〜blips編【橋輪blog】

みなさま、こんにちは。Yuboです。


今回はちゃんと SRAM Red eTap 関連のお話しに戻ります。


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シマノの電動シフト Di2 にDURA-ACE と Ultegra があり、最新のシリーズでは Ultegra が DURA-ACE 化しつつあるのに対し、2018年3月現在 SRAM では電動シフトが Red eTap しかありません。なので SRAM 内に限って言えば他と比べようがないのですが、シマノのスプリンタースイッチ(SW)に近いものとして、eTap には blips があります。以下、開封の儀です。

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もはや Red ではお約束の”お重”に入っています
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中味は至ってシンプル
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2本セットです
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左右まったく同じものではなく、スイッチの部分のコードの取り付け位置が左右で異なっています
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ハンドルバーに取り付けることを想定して内側は円形に凹んでいます
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白いのはシールではなく金属です
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これは eTap のシフタから取り外したフタです


SW と blips はいずれもシフターのレバーではなく、別途取り付けるボタンでディレイラーを操作する、という点では共通している一方で、大きな違いとしては、SW ではリアディレイラーの操作のみが行える(シンクロシフトを利用した場合を除く)のに対して、blips ではレバーと全く同じ操作を行えることが挙げられます。

具体的には、片方のボタンでリアディレイラーのシフトアップ、もう片方のボタンでリアディレイラーのシフトダウンを操作できるばかりでなく、両方のボタンを押すことでフロントディレイラーを操作して、アウターとインナーを切り替えることが可能です。

DURA-ACE Di2 および最新の Ultegra R8050 の STI の上部に特別なコントロールスイッチが取り付けられており、また別途サテライトスイッチなるものを利用すると、サイコンの画面を切り替えたりすることもできたりする(Ultegra R6870 にはないので、別途 Garmin Edge Remote などが必要)わけですが、DURA-ACEは使ったことがないのでよくわかりません。

ただ、シマノの場合、シフターの内側に3つのポートが設けられており、たとえば複数のスプリンタースイッチを取り付けることもできるようです。

一方で、SRAM のシフターの内側には、blips 用のコードを差し込む口が左右それぞれ2つずつ設けられており、これらは blips 専用なのでサイコンを操作したりすることはできません。DSC_2571

Di2 と eTap の大きな違いは、もちろん eTap が無線でディレイラーを操作することなのですが、blips に限っては有線で配線します。

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上下どちらのポートを使っても同じ機能だと思います。つまり、機能としては左右それぞれのシフタの役割をボタンでするだけのことです。

ここで課題となるは、配線の取り回しです。Di2 のジャンクションやバッテリーの配線に比べたら eTap は実にシンプルなものなので、できれば配線も内蔵化したいものです。

なので、とりあえずはハンドルバーの穴を使ってできるだけ、内蔵化してみました。ハンドルの左右に流れているラインが blips のラインです。

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手前に垂れている細い紐は blips の配線ではなく、サイコンのストラップです。

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このように、ある程度内蔵化することができましたが、今回はバーテープがもったいないので、新たに巻き直したりしていないのですが、本当はもっと内蔵化できるでしょう。

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配線が決まったところで次に問題となるのはスイッチの取り付け位置です。バーテープを巻き直さないということは、別の見方をするといくらでもやり直しが利くということなので、今回はシフターのラバーの内側に忍ばせてみました。

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なかなかいい感じです。シマノの SW よりも blips はストロークが深いので押しにくくなるではないかと思いきや、むしろ素のまま押すよりもラバーを介して押す方が押しやすいくらいです。もしかするともっと円形に近い何かを足して、厚みを持たせて凸に近い形状にした方が押しやすくなるかも知れません。

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私のハンドルバーは 400 mm のものですが、blips はこの取り付け方ですと、450 mmでぴったりというか、この位置が限界でした。左右の内側にラインが見えますが、バーテープを巻き直せば隠せる程度の余裕があります。

今度テープを巻き直すときは、もう一つの blips ポートを利用して、下ハンを持ったときでも押せるような blips を足すことも検討しています。ボタンの形状のせいで、シマノの SW と異なり、上から押さえた場合でも、下ハンを持ったときでも違和感なく使える位置にすることは難しいと思います。

ラバーの内部に挟み込むだけでは心配なので、両面テープで固定。最近は、用途に応じて結構いろいろな両面テープが販売されていることに感心。

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私のオススメは、防水タイプの両面テープです。

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色が黒であるばかりでなく、厚みがあります

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そのため多少凸凹した場所に取り付けてもしっくりくるのです。

ここで、ふと疑問に思われたかたもいらっしゃるかも知れません。「左右逆じゃね?」と突っ込まれても、その通りです!としか答えられませんが、実はそれこそがこの blips を使って私がやりたかったことでした。

言うまでもなく、SRAM Red eTap のシフターは、右でリアのシフトアップ、左でリアのシフトダウン、両方でフロントのインナー/アウター切り替えですが、Di2 のスプリンタースイッチになれてしまった私にとっては、これらだけでは物足りなかったのです。

また、筑波山の下りでガードレールに激突事故を起こして以来、ブレーキのレスポンスや操作感、効き具合、耐久性など、あらゆる制動力に関する要素に関心がありました。

色々考えた末に、私が思いついたことは、もっともレスポンスよく危険を回避するには、ブレーキレバーからいっさい指を離さないことでした。私は車の運転でも、左足ブレーキにしているのですが、これに慣れるとブレーキのレスポンスは格段に良くなります。

STI という神器を知って以来、ずっと似たようなことを考えてきましたが、たぶん E-TUBE を使っても同じようなことができるような気がします。仮に現在のファームウェアのバージョンでできなかったとしても将来のアップデートで実現できるようになるかも知れません。

SRAM の場合、方法は至って簡単で、左右の blips をたすき掛けにすれば良いのです。この場合、右手はブレーキに特化させる一方で、左手はリアのシフト操作に特化させることができます。このように、機能別に特化させることが最もシンプル、ひいては eTap のシンプルというコンセプトに合致するのではないかと思われたのでした。

それでは肝心の使い勝手はどうかというと、まあ普通です(笑)

結局好みの問題でもあるわけですが、ただ明確に言えることは、blips をラバーの内側に忍ばせたことで、グリップが握りやすくなったという副次的な効果があったことでしょう。ただ、右手の内側に取り付けたシフトダウン用の blips は単体ではほとんど使いません。

一方で、気持ちいいのは、2つのボタンを同時に押したときに、フロントが切り替わることです。レバーだけを使った場合、フロントシフトのアップとダウンはまったく同じ操作になりますが、blips を併用することにより、たとえばシフトダウンにはレバーを使い、シフトアップには blips を使うといった使いわけができます。

むろん、人ぞれぞれ自転車の楽しみ方は異なりますので、今回は blips の私なりの使い方をご紹介させて頂いたにすぎません。とはいえ、あくまでも趣味の範囲でのお話しですので、こちらの記事を参考に何かを試されようとする方がいらっしゃいましたら、自己責任でお願いします。


〔インドの旅を振り返る〕


次の動画をご覧ください。

これは私が同僚とランチに赴いた際に撮影したものですが、なにかお気づきでしょうか。カレーの種類が2種類ある、はい確かに。主食としてクレープのようなものを食べている、これはチャパティというもので北インドの多くの地域で食べられているようです。


彼はランチの間、ほとんどこのスタイルをほとんど崩さないのですが、右手だけを使って食べていますね。なぜ右手だけを使って左手を使わないのか、という疑問についてはさておき、彼らがスプーンやフォークを使って食べることもできるのにも拘わらず、素手を使うのは、「その日一日がよい一日でありますように」といった祈りを込めるからだそうです。


本題はここからです。ここで、もし左手を使って食材をつまんだら、スマホを触るのにその都度手を拭かなければならないですね。もちろん、そんな面倒なことはしないので、彼らは片手でスマホをしながら右手で食事をします。それぞれの手に別々の役割を持たせて、機能を特化させているわけです。


器用にも片手でチャパティを切り分けていますね。このようなスタイルにより右手だけで食事をするインド人はごくありふれていますが、インド人一般に限って言えば、同時に左手でスマホをいじるインド人はそれほど多くはないかも知れません。ただし、会社の同僚を含め、少なくとも日本に在住するインド人には結構な割合でこのスタイルで食事をする人がいます。


この振る舞いを見て今回の「eTap 襷掛け」の着想を得たと言ったらかなり無理がありますが、機能別に左右の手を使い分ける、という別の例にはなるでしょう。他の例としては、たとえば私の場合、仕事柄右手でメモを取りながらパソコンを操作することが多くなったため、右手でマウスを同時に操作できるわけもなく、ある時期から左手用のトラックボールマウスを使うようになりました。

このときも特別何か大きな効果があったわけではないのですが、Ctrlキーを併用するショートカットが使いにくくなったりしたことで、「ああこの操作は左手で操作することを想定したショートカット」なんだなとか、これまで当たり前だったことから気がつくことが色々とありました。

シマノの SW や SRAM の blips については、ネットで調べてみると DIY でスイッチを自作したり、ケーブルを長さを調整したりする記事も見受けられるのですが、それらの発想の起点は概ね使い勝手よりも、パーツの値段の高さです。メーカー保証外になってしまうことは避けたいものですが、Di2 にしろ blips にしろ、メーカーには仕様を公開してもらい、サードパーティに対する互換性認定などのライセンスビジネスに切り替えて、ユーザにはもっと選択の自由を与えてほしいものです。

インドのスラム街からSRAMへの旅〜ブレーキ編(2)【橋輪blog】

みなさま、こんにちは。Yuboです。


今回は SRAM Red eTap のブレーキ編の第2回目になります。

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2回目といいつつ、自転車について大した知見もない私が、ブレーキについて何ら多くを語れるはずもなく、またとりわけ SRAM のブレーキに限定した話になると、前回でほとんどネタ切れでした。。SRAM はオフロードの実績があるため、ディスクブレーキの話であれば色々語れたでしょうけれど、残念ながら使った経験がありません。

正直別のトピックに切り替えて、今回のブレーキの話題についてはスルー(つまり break through ならぬ brake through) したかったわけですが(汗)、ここは開き直っていつものように初心者の視点で語らせて頂きたいと思いますので、もしお時間が許すようでしたら、しばし私のうんちくにお付き合いください。

前回はブレーキという「部品」の選定が決まりましたが、その機能を発揮するためには、当然これに関連する部品の調達が併せて必要となります。以下しばらくの間、業界や経験者の方には退屈なお話になってしまいますが、ここで一通りブレーキ関連の部品を確認してみたいと思います。

ブレーキそのものは自転車の機能として制動力を担うわけですが、考えてみればそれは乗り手の握力を増幅してこれを制動力に変換する役割を果たしているだけであって、単体では何の役にも立ちませんね(むろんその造形美に惚れ込んで、部屋のオブジェクトとして鑑賞する人もいらっしゃるでしょうけれど)。

一般に完成車を買った場合、最初からブレーキが効かない、と感じることはおそらく希でしょう。止まれない自転車を乗りたい人なんて誰もいないでしょうから、メーカーやブランドを問わず、たとえどんなにコストダウンが図られていたとしても、ブレーキだけはそこそこいいパーツを使っていて、きちんとセッティングがなされている、実情はそんなところでしょうか。

ところが、一からアッセンブリーして組み上げるとなると、事情は大きく変わってきます。しっかり止まる自転車に仕上げるためには、自ら率先して様々な構成部品の仕組みや役割を知り、時にはごく当たり前のことを考え直す必要にすら迫られることもあるものだと実感しました。

そもそも自転車に求められる最低限の機能は、走れることと、止まれること。これらの機能は、物理的には正反対の機能であり、両者のバランスが重要になってきますね。たとえば、それほど速度のでない自転車にはそれほど優れた制動力がなくても乗れてしまうと思いますが、速く走るために作られたロードバイクなどでは、より強力な制動力が求められるでしょう。

もちろん、速度が上がるほど、乗り手に求められるテクニックもこれに比例してレベルが高くなってくるわけですが、制動力を高めるのにテクニックだけではどうにもならない場面が少なくなく、シチュエーションに応じて最適な部品の組合せが大きく影響してくると思われるのです。

ここで、改めてブレーキとしての機能を俯瞰してみると、そこには以下のような部品が構成要素として含まれていることが分かります。
  1. グローブ(手持ちのもの)
  2. シフター(eTap 標準構成)
  3. ブレーキケーブル(eTap 標準添付 )
  4. ブレーキ(TRP)
  5. パッド(通常ブレーキにはアルミ用パッドが標準添付)
  6. ホイール(カーボンホイールには専用のパッドが標準添付)
  7. タイヤ
このように、素手から地面まで制動力を伝えるためには、結構色々な構成部品が連携して機能していることが分かります。これまでのお話しを踏まえると、[3] のブレーキケーブルも SRAM のグループセットに付属していることから、この段階で残りの課題は [5], [6], [7] なるわけですが、今回はカーボンホイールを導入したかったので、まずはカーボンホイールについて色々調べ始めました。

とはいえホイール論を語り始めたらきりが無いので、ここでは制動力に限った観点で考えてみることにします。カーボンホイールを前提にした場合でも、リムもカーボン製なのか、リムだけアルミ製になっているかで、2つの種類に分かれます。つまり、
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のような構造になっているわけです。カーボンリムの場合、一般にはアルミリムよりもブレーキが効きません。そこで、この問題を解決するために、多少重量が増えることをよしとして、リムの部分だけアルミにしてしまうのが折衷案として生まれたわけです。

しかし、一方で重量を犠牲にすることなく、カーボンホイールのリム部分を特殊加工してしまうという発想も生まれるわけで、この加工に相当するのがマビックのエグザリットやカンパニョーロの AC3 などになります。
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ところが、このような仕組みの場合には、メーカーだけで問題を解決しているわけではなく、ユーザにその負担の一部が添加されています。具体的には、特殊加工した効果を最大限に発揮するために、メーカー独自のブレーキパッドの利用を前提条件とすることで、メーカー側でカバーする範囲を限定しています。これが結果的にユーザーにとっては専用パッドの利用を余儀なくすることになり、しかもモノによってはパッドの減りが早かったりするようで、いわばプリンターメーカーのプリンタ機器とインクの関係のようなビジネスモデルになっているわけですね。

はじめてこのようなカーボンホイールの事情を知ったとき、メーカーはなぜそこまであこぎな商売巧妙なビジネスを展開できているか、という点に疑問をもちました。ビジネスが成り立つためには、当然にそれを提供する側と必要する側があり、お互いが納得しているからこそ存続しうるものです。ただでさえ高価なホイールに付加価値を付けて、その負担はユーザに転化するなどといったことが何故こうもまかり通るものなのかと。

今回はこのようなホイール事情について、経営学をかじった人であれば名前ぐらいは聞いたことがある程度に認知されている「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」(あるいはハースバーグ)を用いて紐解いてみたいと思います。名称や内容についてはご存じの方も多いと思いますが、この理論は「満足の反対は不満足ではない」という仮定を前提にしています。もう少しわかりやすく表現すると、「満足できなくても不満にはならない」、「不満が解消されても満足できない」という形でそれぞれを別々の指標として取り扱っています。

元々は、従業員が職場でどれだけのモティベーションもって仕事に専念できるか、という環境を評価するための指標だったわけですが、そんな難しい話はさておき、これはより一般に人が何かを評価する場合にも適用できるものです。つまり人が何かを評価する際には、「満足の程度」と「不満の有無」という2つの判断基準があると考えるできるわけです。

ここではユーザーがホイールに満足しているか、あるいは不満を抱いているか、という課題に限ってお話しすると、見た目がかっこいいというのは満足の程度の話であって、極端な話、かっこよく無くてもホイールとしての機能は満たされています。一方で、ブレーキの効き具合については、不満があってはダメわけで、これでは最低限の機能が満たされません。したがって、これらにはそれぞれ別々の指標が適用されます。

それぞれの目標値について、満足の程度に上限はありませんが、不満の有無はある種の閾値を仮定して、それを下回らないことが判断のポイントになります。満足は満足度とも言われるように数値で図ることが比較的容易であるのに対して、不満はないかあるかの二値で測られるとも言えます。

ブレーキの課題は、単に制動力を高めるだけでなく、レバーを引いた際のレスポンスを上げること、長い下り坂などで生じる高温にも耐えうること、ウェットコンディションでも性能が落ちないこと、など内容が多岐に渡ります。これを「不満の有無」で判断すると、現在のカーボンリムの技術の位置づけとしては、「平地でドライコンディション」のときに限って不満が解消されるレベル(閾値)に達している、という感じでしょうか。見方を変えると、カーボンリムの制動力は、いまだ発展途上の段階であると言えます。

人によっては、このような振り分け方に違和感を覚える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。まったくその通りで、実はそこにこの理論のポイントがあります。何に満足し、何に不満を感じるかは人それぞれ異なります。だからこそ他人の考え方をいったんバラしてみて、それが満足の程度の話なのか、不満の有無の話なのか、という視点で考え直してみる価値があるのです。

カーボンホイール事情についておさらいすると、どんなにかっこいいホイールを装着しても、止まれなければ意味がありません。もちろん資金の事情にもよるわけですが、ユーザがまだまだカーボンホイールについては少なからず不満を抱いているからこそ、メーカーがあの手この手を使って打ち出してくる施策に手を伸ばしてみたくなるのでしょう。

もっとも私の場合には、自分がどう判断していいかわからないときに、頭を整理するための枠組みとして利用することが多いのですが、今回のケースでは、ホイールを評価するにあたってはあまりにも評価する観点が多岐に渡っていたので、他から敢えてこのような理論を援用して考えてみました。自転車に限らず比較的大きな投資をするときは、その時の自分だけでなく将来の自分をも納得させる必要がありますからね。

堅苦しい話はここまでです!私のたわいもないお話にお付き合い頂きありがとうございました。一方で、SRAM のブレーキの話をする余裕がなくなってしまいましたので、誠に勝手ながら次回以降に延期させて頂きたいと思います(汗)

〔インドの旅を振り返る〕

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マイソールで宿泊した元王家の宮殿です
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よく手入れされた庭園の前で
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当時の面影がたくさん街に残っています
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優雅に読書でもしたかったバルコニー
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中庭も広々としていました
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ロビーのフロアで撮影
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レンタル自転車もあります
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走りながら片手で ちょっと危なかった(汗)
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どっかの街の交通事情とは雲泥の差です
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犬も人に負けず横柄すぎ
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どこまでも真っ直ぐな道


マイソールにきてはじめて自転車に乗ってインドの風を感じることができました♪ ここなら次回来るときは、ロードバイクも持ってきたい。。。


【橋輪コラム】

何やら Tubo 複雑なことを考え過ぎて具体的なブレーキの話に到達できませんでしたね。ようは、完成車と呼ばれる26/27インチにおけるママチャリやシティーサイクル、700c ロードバイクやクロスバイクでのタイヤサイズ、リム幅は標準たるものが出来上がっていて、それに合う規格のブレーキが、高価なものから安物まで世の中に沢山出回っているわけです。なので安物のママチャリやクロスバイクを買ってもブレーキの効かないものは無いってことです。

では、標準でないものとは、ビーチクルーザーやBMXです。これらはタイヤが太いためにキャリパーブレーキ(ママチャリのフロントもキャリパーブレーキ)使用時は、ロングリーチタイプを使わざるおえません。これが標準ってものからロングリーチに変えるものですからレバー比が変わってきてしまいます。

特に5万円以下で買えるBMXは全くブレーキが効きませんので、競技どころか一般道でも危険なものがあります。これは、そのBMX に乗らなくともブレーキレバーを握っただけですぐに分かります。握った瞬間パチンとリムを挟み、そこから全く握りこめません。良いブレーキは、リムを挟み込んでから”じんわり”と握り込めなければいけません。

大切なのはブレーキレバーとキャリパーのレバー比が合っているかです。では Yubo、次回の記事で実験してみて下さい。ペンチで指を挟むと肉が潰れて、そこから更に”じんわり”と握り込んでいくと骨が砕けますが、ペンチを反対に持って握りこぶしを挟んでみても全く痛くありません。

怖!




インドのスラム街からSRAMへの旅〜ブレーキ編(1)【橋輪blog】

みなさま、こんにちは。Yuboです。


前回に引き続き SRAM Red eTap 関連のお話しをさせて頂きたいと思います。


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今回のトピックは SRAM のブレーキです。前回お話しさせて頂いたように、油圧式のディスクブレーキは採用しないことにしましたので、次に考慮すべきは、リムブレーキとしてキャリパー方式(正式な呼び方が分からなかったので、ここでは1本のボルトで固定するタイプとします)にするか、ダイレクトマウント方式にするかでした。

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キャリパー方式

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ダイレクトマウント方式

ただし、結論から先に言ってしまうと、私が準備したフレームはダイレクトマウント方式にしか対応していなかったので、この段階でも選択の余地はありませんでした。

もしその際に、色々なブレーキを試したいと思っていたとしたら、カレラ AR-01 のような自由度の高いフレームを選択していたかも知れません。

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このフレームは、ブレーキの規格としてキャリパー式にもダイレクトマウント式にも対応するばかりでなく、フロントフォークを差し替えれば、スルーアクスル(つまりディスクブレーキの規格)にも対応できるという、珍しいフレームです。

小径車でも、こういう全部入りの完成車がリリースされたら、将来の選択肢が増えて長く楽しめるのに、などとつぶやいてみたり。。

さて、お話をダイレクトマウント方式に戻すと、ここで一つの問題に直面します。SRAM は長らくオンロード市場から離れていたらしいのですが、そのせいでしょうか。これまでSRAM はダイレクトマウント方式のブレーキをリリースしたことが一度もなかったんですね(2017年末時点)。

今月になって、突如 SRAM が S-900 というダイレクトマウント式のリムブレーキをリリースするというニュースが飛び込んできましたが、その記事のなかにも、SRAM 初のダイレクトマウント方式のブレーキ"... the first direct mount brake in the SRAM lineup ...")と明確に記述されていました。

sram-s-900


当該記事によると、S-900 は前後のブレーキのいずれでも利用できる仕様になっているようです。付属のブレーキパッドとして SwissStop Flash Pro が付いてくるようですが、間違いなくアルミリム用ですから、おそらくこれを使うアルミホイールのユーザは、セッティングさえ間違えなければよく効くと感じるでしょうけれど、それがダイレクトマウント式だからなのか、SRAM だからなのか、ブレーキパッドがいいからなのか、判断がつかないのではないでしょうか。。

個人的によかったと思えたことは、クイック・リリース (
snappy returnと呼んでいる?) が取り付けられていることですね。従来のダイレクトマウント方式では、必ずしもクイックリリースが取り付けられていませんでした。そのため、簡単にホイールを付け外しをしたい人にとっては、ある種のバレル・アジャスターとして、シマノの SM-CB90 などを利用する以外選択肢がありませんでした。

SM-CB90

ところが、これは橋輪さんに組んでもらってから分かったことですが、最近のワイドリム化に伴い、リム幅とタイヤ幅がほとんど等しくなってきたので、クイック・リリースは必ずしもすべてのリムブレーキに必須のパーツではなくなってきたようですね。実際、私自身もいったんは CM-CB90 を注文したものの、取り付けは不要だったという結果になりました。とはいえ、SRAM の S-900 は幅広いグレードに対応しているようですので、今後ダイレクトマウント方式で SRAM を組みたい人にとっては、とても嬉しいニュースですね。

私が組み付けをお願いしたのは昨年のことでしたので、上記のような SRAM の事情を知ってからというものの、慌ててサードパーティ製のダイレクトマウント・ブレーキを探し始めました。

今回はなるべくシマノとカンパニョーロのパーツは採用せず、どこまで組み付けられるか、といった目標(というか、むしろ野望)を掲げていたこともあり、105 から DURA-ACE までダイレクトマウント方式のラインナップを揃えているシマノ製品は、いったん考慮外としました。

ネットを散々探し回った末に、結果的に私が選択したのは、以下の TRP Brakes の ダイレクトマウントです。

  • T861(フロント用)
  • T851(リア用)

TRP_T861

〔TRP T861〕
TRP_T851

〔TRP T851〕

実際に調達してみたところ、しっかりとした箱に収められていて、中味を確認する前の段階から質の高さを感じました。前回ご紹介したように、海外のネットショップから SRAM のカセットが届いたときは、あまりの箱のボロさに呆れてしまい、長らく売れ残りだったものを割当てられたのか、あるいは何度も返品を受けた製品のリベンジマッチを申しつけられたのかと疑ってしまったくらいでした。

TRP_BOX1
TRP_BOX2

もしかすると、フタを開けなくても中味が確認できるということが、一つのポイントになっているかも知れません。輸入製品では避けられない課税や該非判定の一環として、中味を確認される可能性があることを前提としたパッケージングというものがあるとすれば、このように箱を透明にするという方法も有効な手段であるような気がします。

ちなみに、久しぶりに TRP のサイトにアクセスしてあれ?と思ったのですが、ドメイン名が trpbrakes.com から trpcycling.com に変わっていました。箱をみると、まだ trpbrakes.com のままですね。

また、写真でしか想像できなかったガッチリ感は、まさに思い描いていた通りでした。と言いつつ、見かけに反して、後にご紹介させて頂くように、このブレーキが一つの誘因となって、とてつもなく恐ろしい体験をすることになるわけですが。。。(汗)

その体験については、次回「ブレーキ編(2/2)」でご紹介させて頂きたいと思います!


〔インドの旅を振り返る〕

タイトルにある「インドのスラム街」というのは、もちろん後付けの思いつきでしたが(汗)それではまったくそういった場所に行ったことがないかというと、実はそういうわけでもありません。

たとえば、ニューデリーには昨年ご紹介したような立派な電車が走っていますが、世の中一般の事情と同様に、その路線には大きな駅も小さな駅もあります。私の知るインドのスラム街は、そうした路線の小さな駅で下車して赴いた際に見渡すことできるような風景です。

new_dehli1
こんな感じで細い路地が四方八方に広がり、子供たちや野犬が走り回っているようなところが間々見受けられ、写真の地区では日常生活に必要なインフラも十分ではないようで、排水設備すら整っていませんでした。また、ご覧のように路地はほとんど舗装されておらず、場所によっては50cmぐらい盛り上がっているような形で起伏の激しい場所もあります。

new_dehli2

これでも、もし道を通るのが歩行者のみであれば、まだ穏やかな街のままであったことでしょう。残念ながらそうした細い路地でも主役はモーターバイクです。事故が起きないのが不思議なくらい、人と人がすれ違うのがやっとの場所に、クラクションを鳴らしながらバイクが突っ込んできます(汗)

こんなところで夜道を一人で歩こうものなら、瞬く間に格好の餌食となってしまいそうです。ここは壁外の世界のようなもので、いつなん時、無垢の巨人のごとき輩が出現するやも知れません。。

new_dehli3
路地を出て国道に相当するような大通りはどうかというと、ここでも歩道と車道は明確に仕切られていないというところもあり、路肩には廃車なのか、生活の足として使われている所有車なのかも分からないような朽ちた車が散見され、混沌としている場所が多々見受けられました。

new_dehli4
スラム街の最後の写真としてご紹介させて頂きたいのは、今にも崩れそうな構造をした建物です。近くで見ても、どの柱で支えているのか分からないほど、見るからに恐ろしいビルでした。

GURGAON1

元々グルガオンという地区は、貧しい人たちが住んでいたデリーの一画だったそうで、少し道を離れるとがらりと風景が変わります。

GURGAON2

伝統的な屋台と近代的なビルのコントラストが印象深かったです。

GURGAON3

都会の生活に慣れてしまった日本人では、とても運転ができるような交通事情ではありません。ルールはあっても守られず、信号も少ないので、車同士のコミュニケーションは主にクラクションで行うようです。

GURGAON4
マナーの悪いのは車ばかりだと思いきや、歩行者は横断歩道の有無などお構いなしに、我が物顔で大通りを横切っていきます。


通勤ラッシュの時間帯にグルガオンからニューデリーの中心街に向かいましたが、おそらくこれが当たり前の光景なのでしょう。

それにしても、まったく無知とは恐ろしいものです。なにしろ、私はこんなところに tern verge P10 を持ちこんで街中を走ろうとしていたわけですから(汗)

インドのスラム街からSRAMへの旅〜カセット編【橋輪blog】

インドのスラム街からSRAMへの旅〜カセット編


みなさま、こんにちは。以前、何度かこちらのブログで記事を書かせて頂いていた、Yuboです。最初のタイトルから意味不明な、ちょっと苦しいスタートとなってしまいましたが(汗)何卒ご容赦ください。。

昨年インドに赴いた際に記事をアップさせて頂いて以来、およそ半年ぶりの投稿となります。当時はインドにtern verge P10を持参して道中のよもやま話をご紹介させて頂きたかったのですが、その後、短期出張などで兎にも角にも仕事の方が忙しくなってしまして(汗)、橋輪さんともしばらく疎遠になってしまいました。。。

sankyo
その埋め合わせといったらナンですが、鮮度が命のブログネタとしては、もはやインドの渡航話をご紹介するわけにもいかず、誠に僭越ながら別のテーマを掲げて記事の投稿を再開させて頂きたいと思います。渡航話については折を見て少しずつ共有させてください(汗)

ganesa
さて、心機一転して次の企画として考えたのが「SRAM Red eTapでいってみよう!」というものでした。私が電動式として触ったことがあるのは、Ultegra 6800系 Di2ぐらいですが、導入当初はその素晴らしさには感動すら覚えたくらいでしたので、もちろんシマノ製品に思い入れがないわけではありません。

ultegradi2
もし予算が許すものならは、次のステップとしては、ちょうど時期的にも旬なDURA ACE R9100系やUltegra R8000系を選択するところですが、それではネタとしては面白みがないので、敢えて日本ではマイナーなSRAMを選んでみることにしました。

sramred
使い始めたばかりの私が語るのもなんですが、SRAM eTap については常に勉強の日々で、購入前に商品情報を調べてみたり、実際に使ってみたり、そしてきっと近い将来何らかのトラブルに遭遇したりした場合でも、常に新しい発見があります(たぶん)。ですが、橋輪さんには、そういった心躍る日々を迎える前の段階で、とりあえず何も考えずに「組み付けは eTap でお願いします!」と伝えただけでした。

とどのつまり恥ずかしながら、グループセットに何が含まれているかもろくに確認せずに、eTap の注文をお願いしてしまったわけです。正直なところ、この段階で初めて具体的にグループセットの構成について調べ始めました。下記の画像がネットから適当にとってきた、SRAM Red eTap のショートケージの最小限のグループセットです。

sram_red_etap_groupset

SRAM Red eTap Groupset

一般的なコンポーネントの枠組みに限定してピックアップしてみると、この構成には左右のシフターと、前後のディレイラーしか含まれていませんね。SRAM 初心者の私がいうのもなんですが、実際には最小限のeTapのグループセット選択にあたり以下の2つの指標があります(社長、間違ってたらコメントください)。

  1. ブレーキはワイヤー式にするのか、油圧式にするのか
  2. カセットはどれぐらいのレンジを使うのか

SRAM が最初に eTap をリリースした際には、上記のような選択肢はなく、後からHRD(油圧式)シフターがリリースされたことにより上記1の選択肢が生まれ、またWiFLiをリリースしたことにより上記2の選択肢がうまれました。

sram_red_etap_groupset_wifli

SRAM Red eTap WiFLi Groupset

etap_hrd_brake

SRAM RED eTap HRD

油圧式はいつか使ってみたいですが、とりあえずスルーすることにしたので、1については検討の必要性がなくなりました。2についてはずっと使い続けてきた11-28Tではない選択肢を求めて色々考えてみた結果、WiFLiの方を選択しました。

ですが、ここでまた失敗をやらかしてしまいました。WiFLiのガイドプレートは長いため、私は以下の表な形で11-25Tから11-32Tに対応しているものと思っていたので、これと組み合わせるカセットとしては11-25Tを購入しました。

sram_red_cassette1_update
ところが、ネットでよくよく調べてみると、どうやら11-25TとWiFLiとの相性はよくないようなのです。SRAMも11-26Tから11-32Tの範囲で組み合わせることを推奨しているとかいう情報もありました。したがって、おそらく実際には以下のような組合せが推奨されるのではないかと思います。

sram_red_cassette2_update

いずれにしろ、正確なことは分からなかったので、11-25Tと11-26Tを比較してみたのですが、よく見ると違っているのは25Tと26Tの歯だけではないですか!だったら、このローの一枚だけ使わなければ、今度カセット交換用に11-26Tを購入して、一枚だけ差し替えれば11-25Tも11-26Tとして生まれ変わるかも、という淡い期待を頂いたのでした。

とりあえず私にはメーカーの伝がないので、こんなバカな質問をするのは気が引けたものの、他に調べる手段もないので、やむを得ず橋輪社長に尋ねてみたところ、「SRAMのカセットはシマノみたいにバラの組合せではなく、トップ以外一体型だからダメでしょ」とのあっさりとした回答が。。

まじっすか!と思って、早速自宅にもどってから確認してみました。

DSC_2446

えーほんとに?

DSC_2447

確かに一体型になっているが

DSC_2448

ちゃんとRedって書いてあるし

DSC_2449

ギアの隙間にはゴムが入ってる。。。ところが

DSC_2451

ほんどだ!11Tの一枚しかとれない!

したがって私の目論見は完全に崩れ去り、やむを得ず11-25Tは返品することにしました。先ほどの表に追記すると、以下のように11Tだけが一枚で他の10枚が一体型になっているようです。

sram_red_cassette3_update
ちなみに、以下の箱は11-28Tと11-32Tのものですが、ご覧のように11-32TにはWiFLiという表記がある一方で、11-28Tはありません。その心は「WiFLiのみ対応」ということを示しているようです。11-28TはShortでもWiFLiでも使えるからなのか、何も書いてません。

DSC_2317

DSC_2445
では11-25Tではどうなっていたかというと、すいません、そんなことをよく確認する前に、とっとと返品してしました(汗)したがって、結局のところ未だにWiFLiでどこまでいけるのか、その答えは棚上げになったままです。


カセットの選択が概ね決まったところで(結局11-28Tに戻ってしまいました)、この段階でコンポーネント関連で別途調達しなければならなかったのは、残りは以下のような部材でした。

  • クランク
  • チェーンリング(インナー&アウター)
  • ボトムブラケット(いわゆるBB)
  • チェーン
  • カセット
  • 前後ブレーキ

次回はこの中からどれかをピックアップしてお話させて頂きたいと思います。

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