形見のボクサー SAITO FA60T

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今夜の【橋輪Blog】は、社長室よりお届けします。30年以上も前の古いラジコン飛行機用エンジン SAITO FA60T です。斎藤製作所(今でも名機を製造し世界中にデリバリーしている)の4ストローク水平対向2気筒エンジンで排気量は、30(ラジコン用語でサンマルと読む)×2の60(60キュービックインチだから約10cc)です。おそらくパワー的には、単気筒の40クラスほどしかありませんが、雰囲気とサウンドを楽しむエンジンです。実はこのエンジンある方から(直接ではないが)頂いたものです。我が柏ラジコンクラブ創設期より関わっていた方で当時よく「あれ橋本さん今日は飛ばさないの?」なんて言われ「ちょっと今日は風が強いので」と答えると「風吹いて飛行機飛ばなきゃ戦争負けちゃう!」ってよく言っておられましたのを思い出します。もう亡くなられて20年位になりましょうか、お葬式があったのも知らず1ケ月後ご自宅にお線香をあげさせてもらいに行った時のことです。「よく来てくださいましたどうぞお上がり下さい」お邪魔するとリビングのサイドボードにエンジンコレクションがずら〜りと飾られておました。ここで意外な奥さんのお言葉!「私お返し物しないからどれか好きなの持っていって下さいな」「え!いいんですか?」「それではその端っこにある一番小さいのを頂きます」てなわけで一番価値のありそうな FA60T をもらっちゃったんであります。その晩は故人を偲びつつ、このエンジンを眺めながらの晩酌となりました。それほど造形美の美しいエンジンなのです。

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BMW モーターサイクルのボクサーツインを連想する水平対向シリンダー。現在のセスナなどもこのシリンダー配列が今でも主流で4気筒または6気筒のフラット4 / フラット6 になっています。


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60クラスではかなり重量級の806g。単気筒よりパワーがないのは、部品点数が多くなりフリクションロスが多く発生するため。でもメリットもあるわけでお互いのピストンが相殺しあい無駄なクランクカウンターウエイトを必要としないため振動が極少なくスムースな回転上昇を見せること。


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エンジンを回した形跡もあったが、右側のロッカアームカバーに傷を発見。墜落を経験したに違いない。結構楽しんだんだろうな。


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特にカッコいいのがこの中央に寄せられた直管(サイレンサーなし)のストレートマフラーで、古のオートレーサー(ギャンブルレーサー)のようだ。


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ぼくが知っているこの手のマフラーは、洗濯機の排水パイプのようなダサい蛇腹型しかないが、斎藤製作所に聞いてみたところ最も初期の FA60T だそうだ。



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久々に引っ張り出した SAITO FA60T。タペット調整と給油を施し各部ビカビカに磨き上げた。下手な香典返し(失礼)より思い出の沢山詰ったこのエンジン。そろそろぼくも楽しませてもらおうかな。

搭載する機体選びもまた楽し!