ロックタイトには賞味期限がある
8月18日(土)茨城県取手市柏ラジコンクラブ飛行場を順調に離陸した74”(ウイングスパン74インチ)slick 580。2サイクル35cc エンジンは慣らし運転中ながら快適な飛行で1フライトを終了しようとしていた。8分にセットしたタイマーアラームを聞きながら最終旋回し着陸に向けてアプローチを開始。滑走路までちょっと足りないかなと思いエンジンを”ブン”とひと吹かしのつもりが、”ブ〜〜〜”、とえらい勢いで突っ込んでくるではないか!スロットルが閉じきらないのだ。仕方なくそのまま滑走路に滑り込み接地後スロットルカットを試みるがエンジンは止まらない。もうランウェイエンドまで3m しかない。ラダーを目一杯左に切りU ターンするもまだ回転は下がらずまた逆方向へ加速を始める。ギャラリーは、また離陸するのかと思って楽しみに見ているが、基本無風でなければ往復で離着陸することはない。パニック状態のまま滑走路中央を通過。再度フルパワーにしてテクオフさせることも十分可能だが何とか滑走路内で停止させたい。緊急用に設置していたイグニッションカットスイッチをOFFに切り替え点火をカット。その後10M ほど走りようやくタイヤの回転が止まった。この日は珍しく涼しかったが日汗をたっぷりとかくこととなった。
LOCTITE 222 が、低強度タイプで、243が中強度タイプ。代表的なネジの緩み止め材だが、早く言えば接着剤だ。ボルトに塗布しただけでは固まらないがボルトを締めて空気を遮断すると硬化する。
モールトン研究室に出向き DV-1 のフレーム組立をした時にダイナベクター富成次郎氏から教わったのだがロックタイトには賞味期限があると言うこと。
この時開封したてのロックタイトだったので一滴ではなく半摘に留めて置いたが、ご覧の通りガッチリと硬化していた。
先に納車となった”オッサン”のネイビーブルーの時も苦労したがネジロックが固すぎた。ターンバックルの要領でスプリングの強さを調整しようにもスプリングがよれるだけで全然調整が出来ない。半摘でもこれでけ効くのだ。
さて問題の飛行機の方はどうなっていたか?
パイロットもさぞかし恐ろしかったろうに。
エンジンには何も問題なさそうに見えるが、
カーボンスピンナーを見れ下さい。こんなにも動いています。エンジン内部の破損であればこんなに動くことはありえない。エンジンマウントだ。
プロペラシャフトが随分と右下に傾いてますね。
カウリングを外してみましょう。
ウえ〜!エンジンマウントが?
4本あるエンジンマウントの内右側。下側は完全に緩み上はもうすぐ外れる寸前。
左側では最早、上下ともボルトが抜け落ちてました。
最後にブンと吹かした途端エンジンが前に出てスロットルリンケージを引っ張ったのだ。
内部から見てみると辛うじて残るボルトが見える。
こちらは完全に抜け落ちている。
他ならケチっても、趣味の大事な飛行機だから絶対緩んではいけないとたっぷりしたたる程にロックタイトを塗ったのに全く効いていなかったのだ。工作室のロックタイトが賞味期限切れだったのである。今考えると再離陸させなくて良かった。4本のボルトの内2本が何とか繋がっていたが、ラスト1本になったことを想像するとぞっとする。プロペラの反トルクで機体からエンジンが回されプラグコードや燃料ホースなどを引きちぎりながら機体とエンジンがセパレート。うあ〜恐ろしい!
皆さんロックタイトは、開封日を記入し早めに捨てることをお勧めします