DV-1のエンドについて
以下ヒステリシスについて
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ヒステリシスを粘性と考えると、10kgの力がかかって10mm潰れたゴムが、数秒後に11mmま で潰れるというゴムの性質を表す用語になります。この10mmから11mmへ変形する時間が短いほど粘性が低いゴムとなります。つぶれてから戻るまでの時間も、粘性の低いゴムでは短くなります。
粘性が高い場合ゴム内の分子どうしの摩擦が大きいということで、粘性が高いほどゴムは発熱する。これを専門用語でヒステリシスと言い、発熱をヒステリシス・ロスととらえます。
反対に粘性が低い、つまり縮みきるまでに時間がからない特性だとショック入力時にゴムがすみやかに変形するので路面追従性があがる上、発熱ロスは減ります。
ところがここからが難しいのですが、乗り物のサスペンションは一度縮んでから戻る時に少しゆっくり戻るほうが良いのです。そうでないと高速で車体がフワつく、車輪が暴れるなどの挙動が出てしまうので、いわゆるサスペンション・ダンパーが必要になります。
つまりヒステリシス(粘性ロス)が高いほどダンパーの性能が高まる。モールトンのゴムはこのタイプで、粘るような動きです。しかし同時にショック吸収性(路面追従性)は落ちてしまう。吸収性を高めるには粘性(ヒステリシス)は低いほうがいいが、そうするとダンピング能力は低くなってしまうう・・・・ダンパーが外部に独立して存在しないので、どちらを取るかが難しいのです。
私が考えたのは、モールトンの後輪車軸トラベル量はせいぜい30mm、バネ下重量もクルマやバイクに比べれば無視できるほど小さい。最高速も通常だったら40km/hくらい、つまりバネ下が暴れて困ることは無いので、高いヒステリシスで運動エネルギーの一部をゴムの発熱に変えるのは無駄ではないか?ということです。
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ゴムの粘性と弾性について
粘性とは、ゴムの持つ流体的な性質です。ゴムには10kgの圧縮力がかかって10mm潰れると、
数秒後に11mmまで潰れるという性質があり、この「数秒」の時間が短いほど粘性が低いゴムとなります。つぶれてから元のかたちに戻るまでの時間も、粘性の低いゴムでは短くなります。
ゴムに入力される振幅サイクル(周波数)が大きい場合、粘性の選定が重要になってきます。もし11mmつぶれるのに3秒かかるゴムが例えば1秒サイクルの振動を受けるとしてみましょう。11mmまでつぶれる前に圧縮はされなくなり、差の約1mmぶんゴムは仕事をサボることになります。つまり1mmぶんは吸収されずにゴムのマウント部に振動として伝わることになります。
このサイクルがもっと短くなり、例えばコンマ何秒という周期で入力があるとゴムの仕事能力は更に落ちていきます。つまり潰れてから戻るのにかかる時間より早く次の入力が来ると、ゴムはほとんど元の形状に戻らなくなってしまいます。
次は弾性について。
弾性とはスプリングレート、つまりゴムのばね定数です。例えば1kgずつ入力を増やしていった時の、ばねの変形量を関数で表すのが「ばね定数」です。
DV-1 のエンドは、モールトン規格の4mm エンドってやつです。GOKISO ハブにもモールトンモデルがあるようにハブ又はスキュアーの取り扱いに注意が必要です。
フロントエンドの厚みを測ってみます。
3.81mm ですから4mm エンドですね。
リヤの左側は、4mm エンド。
右のリヤディレーラーブラケット側は5mm となっています。
シマノのハブでテストしてみましょう。
先ずはフロント。タケノコバネを完全に潰した一番狭い状態でエンドが入らなければOKって事になります。ナット側は、OK!
レバー側も OKです。
お次はリヤのディレーラー側。
丁度面一でしょうか。
左側 4mm エンドではハブシャフトが飛び出しています。
リヤの5mm ディレーラー側には、レバー側は入りませんからOKです。
左4mm 側にナット側も入りませんからOK です。
ですが、レバー側には4mm エンドが入ってしまうのでアウトです。
これ写真上下逆です。
結果は、シマノ(105でしか確認してませんが)でしたらフロントは、OK。リヤは通常通りのレバー左側ならOK。その反対は、ペケです。加えると DV-1 はステンレスエンドのため出来ればレバー、ナット側共にスチールの材質ものが好ましいです。現在の DURA-ACE でもナットは鉄でレバー側は、アルミになっています。
昨日の「その4」の内容で誤りがありました。和製ラバーコーンの材質が間違っていたようで、次郎さんに指摘を受けました。以下、
ブログ拝見
シリコン・ゴムでなく、ウレタン・ゴムです。
シリコンは耐熱、耐薬品に優れますが繰り返し変形に弱く割れてしまいます。したがってバネの用途には向きません。主な用途はオイルシールやOリング。
ウレタンは温度によって硬度が変わるのが問題ですが、マイナス10度〜80度くらいまでは安定しているというので採用しました。繰り返し変形にも強く、ATMで紙幣を出し入れするローラーゴムなどに使われます。
モールトンのは天然ゴムと思われます。天然ゴムは専門用語でヒステリシスが高く、サスペンションには向きません。
シリコン・ゴムでなく、ウレタン・ゴムです。
シリコンは耐熱、耐薬品に優れますが繰り返し変形に弱く割れてしまいます。したがってバネの用途には向きません。主な用途はオイルシールやOリング。
ウレタンは温度によって硬度が変わるのが問題ですが、マイナス10度〜80度くらいまでは安定しているというので採用しました。繰り返し変形にも強く、ATMで紙幣を出し入れするローラーゴムなどに使われます。
モールトンのは天然ゴムと思われます。天然ゴムは専門用語でヒステリシスが高く、サスペンションには向きません。
以下ヒステリシスについて
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ヒステリシスを粘性と考えると、10kgの力がかかって10mm潰れたゴムが、数秒後に11mmま で潰れるというゴムの性質を表す用語になります。この10mmから11mmへ変形する時間が短いほど粘性が低いゴムとなります。つぶれてから戻るまでの時間も、粘性の低いゴムでは短くなります。
粘性が高い場合ゴム内の分子どうしの摩擦が大きいということで、粘性が高いほどゴムは発熱する。これを専門用語でヒステリシスと言い、発熱をヒステリシス・ロスととらえます。
反対に粘性が低い、つまり縮みきるまでに時間がからない特性だとショック入力時にゴムがすみやかに変形するので路面追従性があがる上、発熱ロスは減ります。
ところがここからが難しいのですが、乗り物のサスペンションは一度縮んでから戻る時に少しゆっくり戻るほうが良いのです。そうでないと高速で車体がフワつく、車輪が暴れるなどの挙動が出てしまうので、いわゆるサスペンション・ダンパーが必要になります。
つまりヒステリシス(粘性ロス)が高いほどダンパーの性能が高まる。モールトンのゴムはこのタイプで、粘るような動きです。しかし同時にショック吸収性(路面追従性)は落ちてしまう。吸収性を高めるには粘性(ヒステリシス)は低いほうがいいが、そうするとダンピング能力は低くなってしまうう・・・・ダンパーが外部に独立して存在しないので、どちらを取るかが難しいのです。
私が考えたのは、モールトンの後輪車軸トラベル量はせいぜい30mm、バネ下重量もクルマやバイクに比べれば無視できるほど小さい。最高速も通常だったら40km/hくらい、つまりバネ下が暴れて困ることは無いので、高いヒステリシスで運動エネルギーの一部をゴムの発熱に変えるのは無駄ではないか?ということです。
モールトン博士もこの件には言及されておりましたが、モールトンではラバーコーンは自家製で、ヒステリシスを変えるのは難しかったようでした。ただ最近のモールトン・ラバーコーンは少し粘性の低いものに変わっています。
日本では最新ゴム技術によっていろんな特性が出せるので選択肢が広がりました。こうして今回はヒステリシスを最小にして、粘るというよりはよく動くようなセッティングにしました。
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ゴムの粘性と弾性について
粘性とは、ゴムの持つ流体的な性質です。ゴムには10kgの圧縮力がかかって10mm潰れると、
数秒後に11mmまで潰れるという性質があり、この「数秒」の時間が短いほど粘性が低いゴムとなります。つぶれてから元のかたちに戻るまでの時間も、粘性の低いゴムでは短くなります。
ゴムに入力される振幅サイクル(周波数)が大きい場合、粘性の選定が重要になってきます。もし11mmつぶれるのに3秒かかるゴムが例えば1秒サイクルの振動を受けるとしてみましょう。11mmまでつぶれる前に圧縮はされなくなり、差の約1mmぶんゴムは仕事をサボることになります。つまり1mmぶんは吸収されずにゴムのマウント部に振動として伝わることになります。
このサイクルがもっと短くなり、例えばコンマ何秒という周期で入力があるとゴムの仕事能力は更に落ちていきます。つまり潰れてから戻るのにかかる時間より早く次の入力が来ると、ゴムはほとんど元の形状に戻らなくなってしまいます。
自動車でタイヤ空気圧が低いまま高速で走るとタイヤに波のようなシワが発生し、破裂に至るいわゆる
スタンディング・ウェーブ現象がこれです。
クルマやオートバイのエンジンが規定以上の高回転でバルブが戻らなくなり、ピストンとバルブが当たってしまうバルブ・サージングと似た状況です。
奪われた1mmを取り戻すには粘性を下げなければなりません。つまり10kgの入力に対し、3秒ではなくもっと短い時間で11mm潰れる特性です。ただし粘性を無くすことは出来ないのでゼロにすることは不可能。「ゼロに近づける」だけです。
スタンディング・ウェーブ現象がこれです。
クルマやオートバイのエンジンが規定以上の高回転でバルブが戻らなくなり、ピストンとバルブが当たってしまうバルブ・サージングと似た状況です。
奪われた1mmを取り戻すには粘性を下げなければなりません。つまり10kgの入力に対し、3秒ではなくもっと短い時間で11mm潰れる特性です。ただし粘性を無くすことは出来ないのでゼロにすることは不可能。「ゼロに近づける」だけです。
コイルなどの金属ばねにもわずかに粘性はありますがゴムよりは低く、したがってゴムのバネは高周波の入力が苦手なのです。
次は弾性について。
弾性とはスプリングレート、つまりゴムのばね定数です。例えば1kgずつ入力を増やしていった時の、ばねの変形量を関数で表すのが「ばね定数」です。
最もシンプルなコイル・スプリングでは y = ax の単純な一次方程式の aがばね定数となりますが、ゴムの場合はどう使うかによりますが、単純に押しつぶす場合は二次関数的な曲線になります。
一般的に弾性が高いゴムを「硬い」と表現するようですが、ばねの弾性と粘性を混同してはいけません。弾性が高くて粘性が低い、あるいはその逆のゴムがあります。各々の特性をよく理解し、ゴムを正しく使うことが良いサスペンション開発には欠かせません。
簡潔に言うと天然ゴムでは分子同士の摩擦が大きいのでフリクションダンパーが効いてるのと同じになる → つぶれるのも元に戻るのも時間がかかる。つまりショックの吸収が悪いということです。
ウレタンはすぐに潰れて、すぐに元の形に戻ります。
富成
一般的に弾性が高いゴムを「硬い」と表現するようですが、ばねの弾性と粘性を混同してはいけません。弾性が高くて粘性が低い、あるいはその逆のゴムがあります。各々の特性をよく理解し、ゴムを正しく使うことが良いサスペンション開発には欠かせません。
簡潔に言うと天然ゴムでは分子同士の摩擦が大きいのでフリクションダンパーが効いてるのと同じになる → つぶれるのも元に戻るのも時間がかかる。つまりショックの吸収が悪いということです。
ウレタンはすぐに潰れて、すぐに元の形に戻ります。
富成
フリクションロスを極限までなくしたDV-1 のフロントサスペンションは、ウルトラスムースな動きを得て路面からの衝撃を吸収することが出来るよになった。よってモールトンのラバーコーンでは、前後バランスが取れなくなり結果、和製ラバーコーンを製作することとなる。ハード、ソフト、ミディアムと硬度の違う何種類かをテストし製品化された。
流石は次郎さん、ゴム一つ取っても詳しいわ!
さてと1台組んでみますかね!