Dynavector Moulton 研究室訪問記 その3

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フォークコラム内に収まるモールトンの押しバネでは、ピストンとスプリングアジャスターしかありませんが、引きバネを使う DV-1 では、沢山の細かなパーツを必要とします。(写真上)これら全てそれぞれの得意分野を持つ小さな町工場に製作を依頼しているそうです。取引先は日本全国に渡り25社以上あるそうです。

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引きバネの両端をどうやって固定するか。これは素晴らしいアイデアです。



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普通ですと一巻き起こしたループを相手に引っかけるのが通常ですが、応力が一か所に集中し根本が破断しやすくなります。



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ネジをスライスした様な形です。長穴には、Uバンドが入り、右の上用は、スプリングアジャスターの逆ネジがスポット溶接されています。先端の穴にも意味あり。


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ネジの形は、スプリングの線形ピッチと一致しています。これをスプリング内にねじ込むことにより片側2本ないし3本と接触し応力を分散しています。引きバネなので張力が掛かると収縮し更に圧着力が増しますので絶対外れません。



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スプリングにねじ込むために製作したSST。



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これは、憎いです。ネジから一滴こぼれたようなティアドロップ。何と締め込みが完了するとスプリングのカットされた面と一致します。(ここは是非拡大してご覧ください)このティアドロップは、依頼を受けた町工場側の粋な計らいでリクエストには無かったものだそうです。こうゆう所に日本の町工場の素晴しさを垣間見る訳です。



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スプリングは、伸ばす限界長の2〜3割のストロークしか使っておらず破断の可能性は少ないですが、保険でワイヤーで繋いでいます。


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下側をねじ込んでいきますがバネの性格上緩める方向には戻せませんので注意が必要です。



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スプリングが完成。



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U バンドをピンでボトムリンクに繋ぎます。抜け止めは、Rピンではなく確実な割ピンを使用。



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スプリングアジャスターは、上側が正ネジ、下が逆ネジとなっていますのでセンターの長ナットを回せばターンバックルのように長さが変えられます。



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故に長ナットの逆ネジ側にポンチマークあり。



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作業には丸半日を費やし、やっとサスペンションフォークの組み立てが完了。スプリングだけでも凄い話でしょう!

明日は、リヤアームを