みなさま、こんにちは。Yuboです。


今回はちゃんと SRAM Red eTap 関連のお話しに戻ります。


tasuki


シマノの電動シフト Di2 にDURA-ACE と Ultegra があり、最新のシリーズでは Ultegra が DURA-ACE 化しつつあるのに対し、2018年3月現在 SRAM では電動シフトが Red eTap しかありません。なので SRAM 内に限って言えば他と比べようがないのですが、シマノのスプリンタースイッチ(SW)に近いものとして、eTap には blips があります。以下、開封の儀です。

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もはや Red ではお約束の”お重”に入っています
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中味は至ってシンプル
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2本セットです
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左右まったく同じものではなく、スイッチの部分のコードの取り付け位置が左右で異なっています
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ハンドルバーに取り付けることを想定して内側は円形に凹んでいます
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白いのはシールではなく金属です
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これは eTap のシフタから取り外したフタです


SW と blips はいずれもシフターのレバーではなく、別途取り付けるボタンでディレイラーを操作する、という点では共通している一方で、大きな違いとしては、SW ではリアディレイラーの操作のみが行える(シンクロシフトを利用した場合を除く)のに対して、blips ではレバーと全く同じ操作を行えることが挙げられます。

具体的には、片方のボタンでリアディレイラーのシフトアップ、もう片方のボタンでリアディレイラーのシフトダウンを操作できるばかりでなく、両方のボタンを押すことでフロントディレイラーを操作して、アウターとインナーを切り替えることが可能です。

DURA-ACE Di2 および最新の Ultegra R8050 の STI の上部に特別なコントロールスイッチが取り付けられており、また別途サテライトスイッチなるものを利用すると、サイコンの画面を切り替えたりすることもできたりする(Ultegra R6870 にはないので、別途 Garmin Edge Remote などが必要)わけですが、DURA-ACEは使ったことがないのでよくわかりません。

ただ、シマノの場合、シフターの内側に3つのポートが設けられており、たとえば複数のスプリンタースイッチを取り付けることもできるようです。

一方で、SRAM のシフターの内側には、blips 用のコードを差し込む口が左右それぞれ2つずつ設けられており、これらは blips 専用なのでサイコンを操作したりすることはできません。DSC_2571

Di2 と eTap の大きな違いは、もちろん eTap が無線でディレイラーを操作することなのですが、blips に限っては有線で配線します。

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上下どちらのポートを使っても同じ機能だと思います。つまり、機能としては左右それぞれのシフタの役割をボタンでするだけのことです。

ここで課題となるは、配線の取り回しです。Di2 のジャンクションやバッテリーの配線に比べたら eTap は実にシンプルなものなので、できれば配線も内蔵化したいものです。

なので、とりあえずはハンドルバーの穴を使ってできるだけ、内蔵化してみました。ハンドルの左右に流れているラインが blips のラインです。

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手前に垂れている細い紐は blips の配線ではなく、サイコンのストラップです。

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このように、ある程度内蔵化することができましたが、今回はバーテープがもったいないので、新たに巻き直したりしていないのですが、本当はもっと内蔵化できるでしょう。

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配線が決まったところで次に問題となるのはスイッチの取り付け位置です。バーテープを巻き直さないということは、別の見方をするといくらでもやり直しが利くということなので、今回はシフターのラバーの内側に忍ばせてみました。

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なかなかいい感じです。シマノの SW よりも blips はストロークが深いので押しにくくなるではないかと思いきや、むしろ素のまま押すよりもラバーを介して押す方が押しやすいくらいです。もしかするともっと円形に近い何かを足して、厚みを持たせて凸に近い形状にした方が押しやすくなるかも知れません。

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私のハンドルバーは 400 mm のものですが、blips はこの取り付け方ですと、450 mmでぴったりというか、この位置が限界でした。左右の内側にラインが見えますが、バーテープを巻き直せば隠せる程度の余裕があります。

今度テープを巻き直すときは、もう一つの blips ポートを利用して、下ハンを持ったときでも押せるような blips を足すことも検討しています。ボタンの形状のせいで、シマノの SW と異なり、上から押さえた場合でも、下ハンを持ったときでも違和感なく使える位置にすることは難しいと思います。

ラバーの内部に挟み込むだけでは心配なので、両面テープで固定。最近は、用途に応じて結構いろいろな両面テープが販売されていることに感心。

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私のオススメは、防水タイプの両面テープです。

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色が黒であるばかりでなく、厚みがあります

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そのため多少凸凹した場所に取り付けてもしっくりくるのです。

ここで、ふと疑問に思われたかたもいらっしゃるかも知れません。「左右逆じゃね?」と突っ込まれても、その通りです!としか答えられませんが、実はそれこそがこの blips を使って私がやりたかったことでした。

言うまでもなく、SRAM Red eTap のシフターは、右でリアのシフトアップ、左でリアのシフトダウン、両方でフロントのインナー/アウター切り替えですが、Di2 のスプリンタースイッチになれてしまった私にとっては、これらだけでは物足りなかったのです。

また、筑波山の下りでガードレールに激突事故を起こして以来、ブレーキのレスポンスや操作感、効き具合、耐久性など、あらゆる制動力に関する要素に関心がありました。

色々考えた末に、私が思いついたことは、もっともレスポンスよく危険を回避するには、ブレーキレバーからいっさい指を離さないことでした。私は車の運転でも、左足ブレーキにしているのですが、これに慣れるとブレーキのレスポンスは格段に良くなります。

STI という神器を知って以来、ずっと似たようなことを考えてきましたが、たぶん E-TUBE を使っても同じようなことができるような気がします。仮に現在のファームウェアのバージョンでできなかったとしても将来のアップデートで実現できるようになるかも知れません。

SRAM の場合、方法は至って簡単で、左右の blips をたすき掛けにすれば良いのです。この場合、右手はブレーキに特化させる一方で、左手はリアのシフト操作に特化させることができます。このように、機能別に特化させることが最もシンプル、ひいては eTap のシンプルというコンセプトに合致するのではないかと思われたのでした。

それでは肝心の使い勝手はどうかというと、まあ普通です(笑)

結局好みの問題でもあるわけですが、ただ明確に言えることは、blips をラバーの内側に忍ばせたことで、グリップが握りやすくなったという副次的な効果があったことでしょう。ただ、右手の内側に取り付けたシフトダウン用の blips は単体ではほとんど使いません。

一方で、気持ちいいのは、2つのボタンを同時に押したときに、フロントが切り替わることです。レバーだけを使った場合、フロントシフトのアップとダウンはまったく同じ操作になりますが、blips を併用することにより、たとえばシフトダウンにはレバーを使い、シフトアップには blips を使うといった使いわけができます。

むろん、人ぞれぞれ自転車の楽しみ方は異なりますので、今回は blips の私なりの使い方をご紹介させて頂いたにすぎません。とはいえ、あくまでも趣味の範囲でのお話しですので、こちらの記事を参考に何かを試されようとする方がいらっしゃいましたら、自己責任でお願いします。


〔インドの旅を振り返る〕


次の動画をご覧ください。

これは私が同僚とランチに赴いた際に撮影したものですが、なにかお気づきでしょうか。カレーの種類が2種類ある、はい確かに。主食としてクレープのようなものを食べている、これはチャパティというもので北インドの多くの地域で食べられているようです。


彼はランチの間、ほとんどこのスタイルをほとんど崩さないのですが、右手だけを使って食べていますね。なぜ右手だけを使って左手を使わないのか、という疑問についてはさておき、彼らがスプーンやフォークを使って食べることもできるのにも拘わらず、素手を使うのは、「その日一日がよい一日でありますように」といった祈りを込めるからだそうです。


本題はここからです。ここで、もし左手を使って食材をつまんだら、スマホを触るのにその都度手を拭かなければならないですね。もちろん、そんな面倒なことはしないので、彼らは片手でスマホをしながら右手で食事をします。それぞれの手に別々の役割を持たせて、機能を特化させているわけです。


器用にも片手でチャパティを切り分けていますね。このようなスタイルにより右手だけで食事をするインド人はごくありふれていますが、インド人一般に限って言えば、同時に左手でスマホをいじるインド人はそれほど多くはないかも知れません。ただし、会社の同僚を含め、少なくとも日本に在住するインド人には結構な割合でこのスタイルで食事をする人がいます。


この振る舞いを見て今回の「eTap 襷掛け」の着想を得たと言ったらかなり無理がありますが、機能別に左右の手を使い分ける、という別の例にはなるでしょう。他の例としては、たとえば私の場合、仕事柄右手でメモを取りながらパソコンを操作することが多くなったため、右手でマウスを同時に操作できるわけもなく、ある時期から左手用のトラックボールマウスを使うようになりました。

このときも特別何か大きな効果があったわけではないのですが、Ctrlキーを併用するショートカットが使いにくくなったりしたことで、「ああこの操作は左手で操作することを想定したショートカット」なんだなとか、これまで当たり前だったことから気がつくことが色々とありました。

シマノの SW や SRAM の blips については、ネットで調べてみると DIY でスイッチを自作したり、ケーブルを長さを調整したりする記事も見受けられるのですが、それらの発想の起点は概ね使い勝手よりも、パーツの値段の高さです。メーカー保証外になってしまうことは避けたいものですが、Di2 にしろ blips にしろ、メーカーには仕様を公開してもらい、サードパーティに対する互換性認定などのライセンスビジネスに切り替えて、ユーザにはもっと選択の自由を与えてほしいものです。