フロントサスペンションの分解に苦戦

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再生産されたAPB のリペアーキットを発注するため先ずはフロントフォークを分解します。何故なら前期と後期型では、スプリングとピストンの太さが違うのだそうです。初期のモールトンによくある事のようですが、スプリングの下に入っているピストンがコラムに固着してしまい作動不良を起こすそうです。こうなるとスプリングが抜けないハプニングが・・・・・・

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ヘッドパーツは、全く問題無し。



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ボトムリンクを分解すれば、ピストンはサブフォークと共に抜けてくるはず。



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あら? ピストンがない!



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本来ならばこのスプリングアジャスターと呼ばれる部品のボールジョイントにピストンが嵌っていて、一緒に抜けてくるはずなんです。


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てことは、コラム内にスプリングを抱え込んだまま固着したピストンが居るってこと?



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では、コラム内がどうなっているのか汚い絵で解説しよう。



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構成部品は単純で、先ずコラムを貫通するピンが入っている。上から覗くと右のようになる。



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そしてクラウンレースのあたりにピストンがあり、(これがコラムと固着しているとみられる)



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そしてその間にスプリング。サブフォークが沈んでくるとボールの付いたスプリングアジャスターを押しピストンがスプリングを圧縮する仕組み。


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上から見るとスプリングは、このように見える。



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もしピストンの固着がなければ、ピンを避ける半円の中に入る棒があれば、汚いグリスとともにピストンとスプリングは、ドロッと出て来るだろう。ところが動かぬピストンは、その棒をハンマーで叩いたところでスプリングが吸収してしまいビクともしない。


人には見せたくないSST

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何かその辺にあるもので解決できないか? ママチャリに使うカゴの足だ。



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こいつでSST(特殊工具)を作る。



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先端のハブ軸が通る部分は、先ほどの半円にドンピシャ。



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スプリングに到達する長さに圧縮代をみてマーキング。



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こんな形に曲げてみた。カゴの足と言えど万力、5ポンドハンマー、軍手必須ですから。



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底辺の部分を少し凹ませたのには意味がある。



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次に用意したのはドライバーとタイダウンロープ。



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No.3 のプラスドライバーが絶妙にフィット。



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そしてドライバーとSST(と言ってもカゴの足)に掛けます。体重を掛けながらフルボトムの状態までタイダウンを締め上げます。この時タイダウンが滑らないよう底辺を凹ませておいたのです。


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今、スプリングは、フルボトムでバネが線接触をおこし最早バネではなく一つの塊です。



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この状態でSST の底辺に一発くれれば・・・・



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大成功!



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ピストン径を測ると20.41mm。初期が20.2mm で後期が22.2mm なので初期型のリペアーキットを注文です。


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ピストンを洗浄してみると現在のタイプと違いカッチっと強く嵌り込むものではなく、ただの臼でした。


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固着したピストンが何とか外せて一安心。このSST は、人に見られぬ所にしまっておこう。

おそまつ!