SRAM RED GXP クランクへの誤解(完結編)

インテグラルタイプのボトムブラケットには、BB を左右のクランクアームで挟み込むという固定概念がある。SRAM GXP は、クランクが進化してきた過程に囚われない新しい発想をシンプルに具体化した素晴らしいものだった。少なくともぼくが知っている限りでは、この方式を使ったクランクメーカーは他にない。何で今更 GXP の話をしているかって。スラムがロードコンポーネントに参入したのは2006年とまだ浅い。レッド以外にもフォース、ライバルにも GXP版がラインナップするが、未だに SRAM のクランクがセットされた完成車に触れた機会がなかったからだ。

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ウイッシュボーンの BB には、ウェーブワッシャーが付属する。これ必要ないと思われるが?



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右クランク側のBBを入れてみる。ベアリング内径はΦ24mm。回すとBBフランジの部分がスパイダーアーム内側にサラサラと触っているが、勿論普通のBBのように上下には自由に動けます。ここ後で試験に出ますので覚えておいて下さい。


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今度は左クランク側で内径Φ22mm。この位置でBBはコツンと止まる。これがGXPのミソ!


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BBシェル幅を測ってみる。



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86.08mmだった。BB86 の規格はシェル幅86.5mm 内径41mm 。



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この幅をBBに写し取る。



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これでシェルにBBを圧入したのと同じ事になる。



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左BBがチンという音お立て、段差で止まる。



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当然スパイダーアームと右BBには隙間が空く。



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ウェーブワッシャーも検証してみよう。



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右側に入れます。



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チンからシャンて音に変わったので若干先にウェーブワッシャーが当たったようだ。



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左クランクを取り付けフィキシングボルトを締め付けてもBBの回転は重くならなかった。ウェーブワッシャーの影響は殆ど無いと言って良い。(というか無くとも良いと思う)


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今度は左BBだけで見てみよう。フィキシングボルトは半分しか締め付けていないので、BBは段付きの部分まで上下に動きます。


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普通のBBだったら左右のクランクアーム間で行ったり来たり出来ますよね。フィキシングボルトを完全に締め付けるとBBはこの位置から動きません。


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このスプラインの根本にある24mm から22mm になっている段付きがミソです。



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内径Φ22mm の左ベアリングは、ここに入りそれ以上奥には行けません。



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左クランクアームを取り付けフィキシングボルトを完全に締め付けるとシャフト、ベアリングのインナーレース、左クランクアームが一体化します。絵からも分かるようにどんなにオーバートルクでフィキシングボルトを締めたとしてもベアリングのインナーレースしか潰してませんのでボールには一切負荷が掛っていません。(ブルーのラインはBBカップ)

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緑の斜線でBBシェル(フレーム)を書き込みました。


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ブルーのカップはフレームに圧入されてますので今度は外側のベアリングアウターレース、カップ、フレームが一体となったわけです。今この状態で、左側の線で纏めた一体になった3点と右側の3点の位置関係は、左ベアリング内のボールで決まっています。GXPクランクでは、左ベアリングのみでフレーム、BB の位置関係が決まるのです。

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更にねじ込み式の右ベアリンのカップを書き込みました。


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最後に右ベアリングを書き込みましたが、皆さんもうお分かりですよね、右ベアリングはシャフト根本の仕上げてある部分であれば、どこでも良いってことですよ。凄いなGXP!ぼくはこれを”片持ち方式”と名付けました。(あ〜、この絵書くの大変だった)


軸方向の位置決めをしっかり出しながら左右のベアリングには一切の負荷を与えない。しかもその構造はシンプルで、コツや塩梅の必要もない SRAM GXP システム。例えばフェイスカットでシェル幅が0.5mm 短くなってしまったとしても全く関係ないってことです。

橋輪、今ごろになってSRAM GXPの話題かよと思われますが、ぼくにとっては感動的だったものですから書き留めて置きました。

ROTOR などのプリロードアジャスト機構より凄いわ!