ホイールハブのチューニング

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ハブにDURA-ACE?並みの回転を与えるべく、チューニングを施す。今回は、Kitt Custom Carbon Tri-Spoke  Wheel を例に取り説明したいと思います。

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先ずは両側のカラーにあるイモネジを緩めます。



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くだんの方法(接着剤のへら)でカラーを抜きます。



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圧入されているのではなくOリングが仕込まれているので抜きずらいだけです。Oリングの抵抗ですがクイックを締めた時点でカラーとシャフトは一体になるので気にしなくてOKです。


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イモネジが噛んでた痕はヤスリでさらっておきましょう。



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シャフトには、軸方向に若干の遊びを指の腹で感じることが出来ます。これがゼロがベストとは限りません。またゼロでも抵抗になっていることもあります。ではこの遊びがどれくらいあるか測ってみましょう。ダイヤルゲージが無くても測定できますよ。


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遊びの分をシャフト、カラー共に片側に押し付けた状態でイモネジを締めます。



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反対からシャフトを押せば、



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遊びの分だけカラーは外へ。カラーのツバとハブの隙間というより、その内側の僅かな隙間です。



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ここにシックネスゲージ(この測定器具は、高価なダイヤルゲージと違い数百円で購入できる)を差しこみます。



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ツバの内側には段付きがありますので、


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ここではなく、



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こちらで測定。



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ここです。



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幾つかのゲージを組み合わせて隙間がどれだけあるか測定します。



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0.20mm と0.05mm の組み合わせの0.25mm がしっくりきました。指の腹に感じた遊びは、0.25mm だったことが分かります。



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0.30mm も入りますが無理やりです。



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たった0.25mm ですがクイックレバーを締めたときに影響が出ます。ぼくはクイックレバーをきつく締め付けない派なので殆ど影響が出ませんが、きつく締める人は回転に差が生じるでしょう。


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分解には、ヒートガンが便利。カーボンホイールなので触れないほど加熱してはいけません。「熱いな」ぐらいでも薄いアルミハブは、膨張します。


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ハブが温まったらシャフトの頭をこずいてやりますが、適当なボルトを差しておいた方が良いですね。



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ガンガンやらなくともこんこん位で簡単に抜けてきますよ。



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これが部品構成。



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要は、このベアリングに掛る太くなっている部分の長さです。



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この太くなった段差でベアリングが止まるわけです。



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世には、この細いクイックシャフトで回ってると思っている人結構いるんですよ。



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クイックを締めると何処と何処が一体化するのかを見極めなくてはいけません。右からクイックナット(これはシャフトを押しているのではありません)この場合フロントなので赤で書いたフォークエンド、エンドはカラーを押してカラーは、ベアリングのインナーレースだけを押してインナーレースは、シャフトの段差を押す。そして今書いた全てが一体化する。そしてその相手は一体化したハブボディーとベアリングのアウターレース。その二つの一体化しともの同士の間にボールが回っているわけです。


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このカラーの段差が、ベアリング全体ではなくインナーレースのみを押している絡繰りであります。



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これが正常な段付きの距離だとしよう。



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この段付きの距離が正常より短かったらどうなるか?


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汚い絵はハブを立てに見た状態。

右が正常で左が短いパターン。クイックはカラーを押し下げベアリングインナーレースを下げようとする。ベアリングアウターレースは、ハブの段付きに阻まれ動けない。すると互いに高さの違うレースは、ボールにストレスを掛けるのです。

あすは、具体的なチューニング法を