Mr.Koba のワールドサイクリングレクチャー 最終回

4. あとがき

鉄道に乗って先々を自転車で走るとなれば、荷物はトランクというわけにはゆかない。ぼくたちは初めの日と最終日は同じホテルに泊まり、要らない荷物を預けておくが、それでも4,5日はリュックの旅になる。旅を重ねるごとに荷物を削って、着の身着のまま、宿に着くと洗濯をしてそれを乾かす。都会を離れれば食事も限られてくる。イギリスでもスイスでもB&Bとは言っても頼めばワインも夕食も出してくれる。そしてその1人前がバカに多い。だから「シェアーします」と言って一人前を2人で食べる。最近はそれも面倒で、日本からフリーズドライやカップ麺を持っていって、ワインを飲んで寝てしまう。スイスの駅近には必ずミグロスかCOOPがあって、見つけたらワインを買って宿に持ち込む。夕食が簡素だから朝食がおいしい。とくに田舎に行くほどベーコンやチーズやパンが手作りでおいしい。またシャワーとかトイレとか水回りは、イギリスもスイスも田舎でも素晴らしい。

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イギリス・カークストン峠前の宿

最近、連れのDAHONの後輪に純正の荷台をつけリュックの荷物を半分移した。電車輪行でも荷台のバッグはそのままだから、体への負担は軽くなった。そういうことが簡単にできるのもミニベロだからである。


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イギリス・ホークスヘッド付近

ぼくは海外ではイギリスとスイスが気に入っている。イギリス人はとても親切で人なつこいし、料理もおいしい。外国にいると人と話すことが少ないから、話しかけられるのは嬉しい。あるときロンドンの駅で、教授のような老紳士がぼくたちが困っているのを感じたのか、我々の周りをうろうろし、ようやく意を決して話しかけてくれたことがあって感動した。逆にパリの人は話しかけてこないし、カメラを向けてもこちらを見ない。また下働きはたいてい移民で彼らの表情は暗い。目が合って微笑むのは上流の人だ。ぼくたちは初めの頃ツールドフランスに憧れてノルマンディーの麦畑を走ったけれど、我々の足にはちょっと国土が広すぎたし、スイスやイギリスを知った今、フランスの田園は乾きすぎて単調なように思う。

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イギリス・湖水地方のボビン工場

イギリスで好きな場所は湖水地方。マンチェスターの北、PENRITHから走り始めてカークストン峠を越えてアンブルサイド、そこから下ってグランジュオーバーサンズまで。石垣で区切られた青々とした丘の牧草地と荒々しい峠。我々しか客のない森の中のB&B。世界遺産にもならずひっそりと残っている産業革命の頃の糸巻き工場の水車で回る旋盤。



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イギリス・カークストン峠


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イギリス・カークストン峠


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イギリス・Grange Over Sands

 



私たち夫婦は運動の苦手な、60すぎの夫婦である。60才まで海外旅行をしたことが無く、おずおずと韓国旅行からはじめた。それまでも国内は子供達と輪行で旅行していたから、いずれ海外と自転車は合体する運命だったのかもしれない。韓国は自転車旅行には向かず、最初のサイクリングはフランスのブルターニュからだった。今回、スイスについて書くつもりだったが、大好きなだけでまだ知らない美しい場所が多く、イギリス・フランスも混ぜてしまった。観光コースから外れて自転車旅を楽しむ人の参考になればうれしい。                     小早川 輝夫

 

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スイス・Andermatt 車窓




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スイス・Rueggisberg雪山



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スイス・ Rueggisberg 教会



 

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スイス・Rueggisberg 牧場

いやー皆さん如何だったでしょうか、Mr.Koba のパノラマスケールなオーナーズレポート。読んでるぼくらもヨーロッパツアーしてる気持ちになりましたよね。しかも年齢を感じさせない行動力と、ハイテクを駆使したルート設定には驚きました。また、どちらかにお出かけの際はレポートお待ちしております。

Many thanks Mr.Koba