”MASI 俊樹”流学59日目(俊樹、教会に祈る)

 
十字架のおかげか、誰にも襲われることなく朝を迎えた。

準備を終え、道路に出るとわりと丸見えだった。

道はほとんど平坦でペースもいい。
 


途中休憩によったガソスタでトイレにいくと、小便器が故障中で個室しか空いていない。

おかげで男子トイレなのになかなかの混雑だ。

中に入り、待機していると後から入ってきた男の子がオレの前に立ちやがった
 
が、優しいオレは、「ビッグ?スモール?」と訊いてあげた。

オレはビッグの方だが切羽詰ってわけではないので先を譲ってやってもいい。

だが、向こうもおビッグならば話は別だ。下手に立てこもられたらオレの肛門ジャンクションも危うい。
 
しかし、この優しい問いかけの意味を理解できていない様子の少年。

仕方がないので前と後ろを交互にたたきながら再度質問すると意図を理解したようで前をポンとたたいてうん!とうなずいた。

オーケー、先に行きなと小粋に言う。
 
そして彼は少しはにかんだ笑顔で個室へと入った。


国際交流はわりと気合いでどうにかなるもんですよみなさん!
 
 
用を済ませ、再び走り出す。

すると道が二つに分かれた。
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アウシュビッツに直行するならKrakow(クラクフ)方面だが、ひとつ寄り道したい街があった。

Czestochowa(チェンストホバ)だ。

この街はポーランドのキリスト教の聖地のような街らしく、四国のお遍路さんよろしくポーランド中からみんな、人によっては歩いてこの街に来るという。

いいところだからぜひ行ってみなさいと言われたのを思い出し、そっちに走っていく。
 


道は平坦で、両側には森が途切れなく続いている。

チェンストホバの手前で小用を足すべく森に入り、チャリを停めて用を足していると一台の車が入ってきた。
 

やばいな、おこられるかな・・・・

 
と思っていると、車から60代くらいの夫婦が降りてきて、トランクをなにやらごそごそとあさっている。
 
そして、ほどなくすると、二人はそれぞれ反対方向へと歩いていく。

奥さんはなぜかこっちを何度も振り返りながら歩いて行った。
 
 
すると、「じょろろろろ」
 
と聞こえてきた。
 
 
ってことは・・・
 
 
 
海外ってすごい。(笑)
 
 
奥さん、僕のこと気にしてましたけど、あんたのなんかぜっっっっったい見まっせんから!心配ご無用!
 
これ以上いると変態だと思われて通報されそうなので、そそくさと退散することに。
 

走りながら、日本ならどこ行ってもコンビニがあるからすぐにトイレが見つかって便利だな、と思った。
うん。
 
 
道は市街地に入り、ついにチェンストホバに入った。

キャンプ場があるということでそちらに向かう。

市街地だといううのにびっくりするくらい急な坂をいくつも越え、キャンプ場到着。
 


キャンプ場に入ると愛想のいいおばちゃんが出てきた。

宿泊登録ようにパスポートを見せると、「あなた日本人!?ここに日本人が泊まりに来たのは初めてよ!」
 
と興奮気味で、職員のほかのおばちゃんたちに走って見せびらかしに行った。

そりゃ珍しいだろうけど・・・
 
5分ほど大はしゃぎされたのち、パスポートが帰ってきた。

そして、テントを張り、まずは腹ごしらえ。

ベルリンのホステルで手に入れたジャガイモを玉ねぎとレタスとともにマヨネーズで炒めて完成。
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このころはレタス炒めにハマっていた。
 
 
さて、腹も膨れたことだし、街に行ってみよう。
 

キャンプ場の目の前は大きなホテルがあり、右手にはヤスナ・グラ修道院の入り口がある。
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この修道院には、多くのキリスト教信者が集まり、ポーランドにおけるメッカのような場所だ。
なるほどなるほど、近づいていくほどにゲームの白魔導士のような恰好をした人たちが増えていく。
 
中に入ると、まずは内部の美しさに圧倒される。
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細かな装飾も行き届き、いたるところに天使が。
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そして、熱心に祈る人がたくさんいる。
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今まで見てきた有名な教会とは全く違う。ここよりも装飾や外観は美しいところはあるが、ここまで熱心に祈っている人は見たことがない。

普段はパシャパシャカメラを撮ってはしゃいでいる観光客ばかりで白けてしまうが、ここではそういった感情は一切抱かなかった。
 


外に出てみると、なにか大がかりなイベントがなされていた
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司祭のような人が壇上で何か語り、最後は聖歌で締めくくられた。
 
祈りの言葉を一つも知らないオレは、ただ一つ心の中で祈った。
 

世界が平和になりますように。  と。
 

そうこの日は8月15日。

我々日本人にとって大きな意味を持つ日だ。

 
少し敬虔な気持ちになって、この日は眠りについた。
 
(59日目 走行距離120.34km 〜Czestochowa チェンストホバ)