カロリーナのクラスメイト、カミラを紹介して貰った俊樹
              酔っ払ってカミラのアパートで目覚める

 
静かな部屋にひとり目を覚ました。


音が何もなく、街の息遣いすらも聞こえない。
 
もしかしたらみんな出かけてしまったのではないかと思い部屋を出るが、女の子のアパートなのでほかの部屋を覗くわけにもいかない。

少しぼーっと過ごし、一度アパートを出て外の空気を吸いに出た。
 
人通りもまばらで、気温もそんなに高くない。

少しプラプラして戻ろうとすると入口のドアが開かない!
 
見た目は古びたこのビルもしっかりオートロックだったのだ!ポーランド、侮りがたし!!
 
ケータイでカミラに電話をかけようと思ったが、電池が一瞬で切れてしまい大ピンチ!
 
 
ビルの前で待機し、ほかの住民の出入りをひたすら待った。

15分ほどしてようやく住民が通り、スッと後を追って侵入に成功した。

もちろんものすごくいぶかしげな顔をされたのは言うまでもない・・・。
 


部屋に入ってホッと一息つくとカミラが起きてきた。

朝食にパンケーキを焼いてくれると言ってエプロンを身に着け、小麦粉と卵を混ぜていく。
 
起き抜けだというのに笑顔は絶えない。
 
一枚ずつ焼いていく後姿を眺めながらゆるりと会話をしている。
 
 
なんだか・・・・
 
 
新婚さんみたいじゃね!!!!?笑
 
 
くぅー、しあわせだぜ!!
 
             彼氏がいなきゃな

2人で腰かけて朝食を食べていると、カロリーナが実家から帰ってきた。

後ろにはいかついスキンヘッドの男が立っている。
 
うわこわっ!なんだこいつは!?
と思ったら、彼氏のマチェックという男だと紹介される。

見た目のいかつさに加えて、落ち着いた妙に雰囲気のある男だったので仲良くなれるかな?という印象だった。
 
が、カロリーナはまるで赤ん坊に話しかけるように彼を扱う。
 
そしてそれにとろけたような顔で応じるマチェック。
 
 
ラブラブやんけ!!

悔しい!!
 
見た目に反してかわいらしい男だとわかり一安心。

緊張もほぐれにこやかに話していく。

昼前になると彼は仕事に行くと言って立ち上がり、「今夜はウォッカを飲もうぜ!」

と誘われ延泊させてもらうことに。
 
 
ほかの子たちもバイトに行くそうなので、カロリーナがブロツワフを案内してくれることになった。
 
 
どこにいくの?

と訊ねると、

「日本庭園があるからそこにいきましょう!」

と行ってバスに飛び乗った。

 
10分ほどバスに揺られ、到着。
 
チケットを買い
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中に入っていく
 日本庭園1




日本庭園2

 

中には池があり、
日本庭園3

鯉が泳いでいたり、端っこには滝があったりと本格的に作りこまれている。
 
それもそのはず、90年代後半に日本から庭師を呼んで作った庭園なのである。
 
一度は洪水により多くが流されてしまったそうだが、すぐに日本から修復のため庭師が駆けつけ、現在の状態になったそうだ。
 
 
橋の上でカロリーナと鯉を眺めていると花嫁と花婿が写真撮影に訪れていた。

しばらくそれに見とれた後、カロリーナとマチェックもああいう風になれるといいねーというと

「もちろん!」と無邪気に笑った。
 
 
しばらく庭を歩き回った後、街の方へと歩くことにした。
 
ブロツワフの街を流れる大きな川の側はよく整備された公園が続き、ゆるい川風に吹かれながら歩くのは心地好かった。
 

ブロツワフは大学がいくつかあるようで、それらの校舎が散在していた。

その横を通ると、カロリーナが、「そういえば、毎年学校で仮装パーティがあって、いろんな恰好をする人がいるのよ!中にはレッドブルの缶になったりね。

時々全裸の人がいるのはいただけないけど・・・」
この時ふと、柏祭りレポの橋輪ブログにいた全裸の兄ちゃんが瞬時に思い浮かび大いに笑った。
 
           実はあれ塾の先生です

途中でショッピングセンターにより、食料調達を済ませた。

今夜はポーランド料理を作ってくれるそうだ。
 
会計を済ませると妙に重たい荷物を自然と一人で持つことになった
 
アパートまでは15分ほどの距離である。
 
手に食い込むビニール袋に思わず顔をしかめる。

悠然と歩いているカロリーナ。

 
レディファーストって怖い・・・・。
 
欧米人男性すげぇ。
 
 
大汗をかきながらアパートに到着し荷物を下ろしたときはだいぶホッとした。
 
その夜、カロリーナが作ってくれたちっちゃいハンバーグ的なのと、ピエロギーという餃子に似た(味は全く違うが)パスタ的なものを食べながらみんなの帰りを待った。
 
おなかが落ち着いたところでこ「これ食べてみる?」といって出されたピクルスのようなものはものすごくまずかったので、こんどお返しに梅干しでも送りつけてやろうと思っている。
 
                  いいね!


そんなこんなでマチェックが帰ってきたのでウォッカタイムに入ることに。

普段ウィスキーが好きで飲んでいるが、ウォッカは飲んだことがない。
 
「覚悟はできているか・・・?」

なんてマチェックが神妙な顔をして言う。
 
みんなでショット一杯分をくっと煽る。

口の中で一気に香りが弾け、飲下すと喉を焼いていく。
 
 
ぷはーっと一気に顔が熱くなってきた。

女性陣はうえーっといった感じですぐにジュースを飲む。
 
マチェックは「な!うまいだろ!」と笑いながら平気そうな顔をしていた。
 
 
そのまま続けて飲んでいると、女性陣はあきれてしまったようで寝るわといってキッチンを出た。
 
2人は程よく酔いが回ってきたのでひたすら飲み続ける。
 
一時間ほどで一本開けてしまい、もう一本買いに外に出る。

酔いが回ったのか、彼は自身の生い立ちを話し出し、一通り話すと前を見据えて黙って歩いて行った。

部屋に戻り、飲みなおしていると、彼は不意に広島に行ってみたいと言い出した。

原爆の爪痕が見たいと。
 

そのとき妙にじーんと来て、なぜか涙が一つこぼれた。


この国も大戦中にナチスの手によって多くの人々が虐殺され、恐怖の渦に巻き込まれた。

その国に生まれ、複雑な家庭に育ち苦労をしたマチェックの言葉に心を揺さぶられた
 


少しの沈黙の後、どちらともなく「飲もうぜ!」となり、さっきよりもひときわ大きな声で笑いながら酒をあおり続けた。
 
(57日目 ブロツワフ観光)