”MASI 俊樹”流学43〜46日目(俊樹、風邪ひく)

 
風邪をひいた。

前日から何となくのどの痛みは感じていたが、デスボイスの練習をしながら走っているからだろうと思っていて薬は飲んでいなかった。

ちなみにフランスでは変な声を出して走っていたら交差点に居た車がいぶかしげにこっちを見て車の窓を閉めました(笑)
 
 


熱があるのか額は熱いし体が重い。

ロキソニンを飲んで、昼までベンチで眠って走り出した。

依然として体は重く、天気が悪くて気温が急に下がったのも追い打ちをかけた。
 


じいさんに作成してもらったルートのおかげで順調に進む。

最初はオランダのように平地で走りやすかったが、進んでいくとのぼりが増え、丘の上の麦畑を越え、山に入っていく。
43〜46−1[1]
 
重たい体に重たい自転車で必死に登る。
 
また更に雨まで降ってきて最悪。
 
100km越えたところでキャンプ場を目指すが、またいい森が見つかり、雨の中を進むのはよくないのでそこで野宿することに。
 
テントを立ててしばらくすると犬を連れた男が来たのでいつもどおりダッシュであいさつ。

なんとか事情が伝わり、この森は教会所有ということで許可された。
 


薬を飲んで眠る。


 
夜中に大雨が降り、目覚めるとテントが大浸水。

下からの浸水がひどいんですこのテント。
 
少しゆっくり寝て、飯を食ったらテントを乾かしながらゆっくりする。
43〜46−2[1]
 
昼前に出発し、安全な場所で体を休めるべく50km先のキャンプ場を目指す。
 
走っていくとちょうど目指している街までつながっているサイクリングルートを見つけ走っていく。
 
が、これが非常に悪路。

アスファルトはひび割れてるわ、無駄に坂が多いわ、さらに未舗装にまでなった。
43〜46−3[1]


 
これほんとにサイクリングロードなんか? と辺りを見回すが、この看板が堂々と立っているから間違いではない。
43〜46−4[1]
 
そんな道に苦しまされながらもなんとか早い時間にキャンプ場に到着。
 
とりあえず一泊すると告げ、テントを設営。

少しでも体にいいものをと思いトマトスープを作って飲む。
43〜46−5[1]

   ん、少しは旨そうに見えるようになったじゃん
 
飯をぼーっと食っていると、テントの前を一家が通り過ぎ挨拶される。
 
軽く挨拶をしてまた休む。
 
夜、シャワーを浴びようと建物に向かうと、先ほどの一家に出会い、立ち話を始める。

お姉さんの方はあまり英語に自信がないとのことで、主に鼻に牛みたいにピアスをつけた妹が話出したのだが、この子はまたアレな子で・・・。
 
どうやら、熱心な信者さんで各国の信者を集めてちょっとした共同生活の中で神の声を聴く集まりがあるらしいのだが目を輝かせ鼻を膨らませ話されても・・・ねぇ
 

この時アムステルダムの駐輪場のおっちゃんを思い出した。

「誰がどの神様を信じていてもオレは構わないよ。
むしろそういうのを信じていい人になれるんならオレはすごくいいことだと思う。
でもいつもオレは思うんだ。
「オレに押し付けないでくれってね」

 
ああおっちゃんオレも今同じ気持ちだよ・・・

 
一通り話して、今自分は2日風呂に入ってないからシャワーのあと話そうといって、ひとまず別れた。

別れ際にシャワーのコインをくれたのは助かった。

コインを入れないとお湯が出ないのだ。風邪を悪化させてしまわずに済んだのは神様に感謝。
 
きれいになったところで外に出て、話をしに行こうかと思ったが、姿が見えないし体が冷えてきてつらいのでその晩は眠った。
 
 

翌朝、起きて出発しようと思ったのだが、昨日のシャワーがまずかったのか一番体がだるい。

こりゃ走れませんわと眠り続けた。

14時ごろ目覚め、トイレまでのろのろと歩く。

朝よりはだいぶマシになった。

連泊することになったので追加の料金を払いに行くが、誰もいなかったので売店でコーラと缶詰を買って食い、また眠りについた。
 
こんな大きいところだからもしかしたらバレないんじゃね?

なんて期待したが、1時間後見回りのおばちゃんにしっかり宿泊カードをチェックされ、お金を払った。

あわよくば踏み倒そうと思ってごめんなさい(笑)


 
そこからは暑くて寝ていられなかったので鞄の奥で眠っていたホームズを読んで、カレーを作って時間をつぶした。
 
そして食事を済ませまた眠りにつく。
 
今日は風も雲もなくていい天気だった。

明日こそ復活して走り出さなきゃ・・・。
 
 


次の日は体調がわりとよくなったので走り出すことに。

出がけに話をした一家のパパに出会い、ひたすら聖書を読むことを勧められた。

お返しに武道の心得でも説いてやろうかと思ったが、あんまり英語がわかる様子でもなかったので断念。
 



キャンプ場を出て、一度来た道を引き返し、スーパーを探しに行くがどうやら近くには無いようなのであきらめてガソスタの売店でサンドウィッチとクッキー、飲み物を買って走る。
 

そして、看板を見るとキャンプ場方面がルートだと判明し、無駄に往復してしまったことを悔いた。

キャンプ場の前を通り過ぎると一家にまた出くわした。

お姉さんはオレの体調が悪いことを聞いたようで本当に心配してくれている様子でうれしかった。
 
 


そこから広々としたサイクリングロードを走る。

たくさんのサイクリストとすれ違い、その多くが自転車旅の人でうれしくなった。
 
 

途中で通り過ぎた街の名前、「アへ」はちょっと笑ってしまった。
43〜46−6[1]



日差し厳しいお昼過ぎに童話で有名なハーメルンに到着。
43〜46−7[1]


 
看板にも童話にちなんだお祭りの写真があった。
43〜46−8[1]
 
スーパーを見つけ、食料と暑いので贅沢にアイスを買った。



そして、オレは絶望の淵に立たされることに。


 
支払いの際、財布を見ると現金がかなり減っていることに気が付いた。

そういえばフランスで金を下ろしてから現金払いばかりしてしまったし、アムステルダムで外食とかしたからなぁ。

ひとまず大きい街なので銀行により、ATMで金を下ろそうとするがカードだけが帰ってくる。

この日は8月2日だからきっと支払日の10日まで下ろせないんだろう。

仕方ないので鞄の奥底から予備の財布を取り出し、日本円を両替してもらおうと店員に尋ねると、この街では両替はできず、はるか40km先の大きな街まで行けという。

その町はルートから外れている。
 
しかし手持ちは18ユーロ。

ベルリンまで行けば両替はできるはず。
 
 
うーむ、どうしよう。と迷った末に、ベルリンまで走ることに。
 
とにかくカードが使える店を見つけ、現金は使わないようにしよう。


しかし、ここからが悲劇の始まりだった。



この時はまだ、行けんべ行けんべと楽観的だったのだが・・・・。
 
この日は気温が特に高くて、風邪気味に加えて軽い熱中症まで起こしてしまった。

それでも頭に水をかけながら走り、日が暮れたころ山の中に入って野宿。
 
熱でぼーっとする頭に体を拭く用の冷たいシートを載せ、いたるところから聞こえてくる動物の声におびえながら眠った。
 
(43日目 101.14km 44日目 55.24km 45日目 休み 46日目115.82km)


    と、18日に届いたメールは、ここまで
                           大丈夫か俊樹?