”MASI 俊樹”流学27・28・29日目

来た道を走るのはつまらないのでここからは新たなルートを開拓することにした。

ここまではミシュランのたいして使えない地図の赤線をたどってきたのだが、少し外れて黄色い線の道へ。
(せめて写真をアップしたいのだがフランスを出る直前にどっかに落としてしまったのでごめんなさい)

赤線が高速じゃない主要な道路で、黄色い線がそこそこ主要な道路といったところか。
まぁ、水戸街道と旧水戸街道の差を思い浮かべていただきたい。


さて、来た道を外れて新たに道を開拓し始めたのはいいが、ここからが苦難の始まりだった。
往きをさらに上回るアップダウン!

なんで、こんなに、のぼるんすか

と一漕ぎするたびにつぶやいた。

こんなことなら来た道を引き返してパリ近郊から違う道を進めばよかった・・・。


坂はすべて5パーセント以上の傾斜で、さらに1km近く続く。
向かい風も相まってだいぶキツイ。



70km走りなんとかつぎの大きな街Vireに着く。

道を少し御間違え、進んだ先にマックがあったのでWIFI休憩。
二時間ほどネットを楽しみ進む。

孤独な一人旅にネットは欠かせないんです。


手持ちの現金がだいぶ少なくなってきてしまったのではやいとこ下ろさねば。

とりあえず一刻も早くこの山道から抜け出したい・・・。

(27日目 走行距離91.43km)





朝から昼過ぎまで相変わらずのアップダウンを越え、なんとか進んだのちに、平坦な道に変わり、向かい風に苦しみながらも先を目指す。

道路の看板にもPARISの文字が現れ始め、ようやく戻ってきた実感がわいてくる。

思えば450kmくらい寄り道をしたんだなぁ。


夕方、安売りスーパーを見つけて買い物を済ませ、荷物を積んでいると知らないおっさんに「お前は荷物をこれでもか!これでもか!ってつみすぎなんだよ」って笑われてしまった。
思えば走り始めたころに、「バスタブは積まなくていいのか?」って笑われたなぁ。


この日は小鹿が興味津々にこちらをみているところで眠った。

旅の最長記録27日を越え、ここからが未知の領域となる。

明日はどんな日になるのだろうか・・・。

(28日目 走行距離112.89km)





昨日までの快晴灼熱地獄がおさまり薄曇りの日。

明け方なんだか知らんが動物が泣きわめいていたせいで非常に眠い。

何度か峠を越えて、ルーアンという次の大きな街を目指す。


しかし、お昼寝休憩シエスタなしで進んだにも関わらず、20km手前で道がすべて高速道路になってしまい八方塞がり。

進んだ先の小さな町でルートがわからず、この道で合っててくれと進んだ先はなんと1時間前に居た街。

もはやこれまで・・・と、違う町を目指すことに。



目の前の大きな川沿いに進めば北上できることに気づき、川沿いなのだから平坦だろうと気軽に行く。

が、進めば進むほど川からそれていき、ついにはものすごい上り坂になる。
隣をトラックがエンジンをうならせて登っていく。
その横をえっちらおっちら亀より遅いスピードで登っていくオレ。


何とか登り終え、見つけたキャンプ場で一泊。

さて、飯にするべか〜と買ってきた肉を焼く!!(1(2
29−1

んまい!やはりベーコンより分厚い肉っすよ!!

牛肉と豚肉を塩と胡椒で焼いて食べた。
29−2

これで少しは体がでかくなればいいけどそんなすぐにはムリか。



さて、問題は朝飯だ。

今朝かったラビオリが喰いたいのだが、プルトップ型じゃなくてふつうに缶切りで開けるタイプだったのだ。

これは困った。

ドライバーとレンチでカンカンカンカン穴をあけていくがうるさい割に先に進まない。

勇気を出してお隣さんに缶切り持ってます?と訊くと快く持ってきてくれた。

が、それでもあかない。


すると次は二人でさらにお隣さんに訊きに行き、違う缶切りで開けてみる。

が、これもダメ。

ならば、と三人でもう一つお隣さんに助けを求め、ついに蓋が開いた!

歓声、そして拍手!


ひとつのラビオリに大人が何人も本気出してしまった。

みんなとても親しみやすいいい人たちでよかった。

最後の一軒の奥さんは、これあげるわと缶切りをくれたし、
29−3
お隣さんはビールとチョコをくれた。

ビールを飲んで汗をぬぐう。


なにかお返しができないかな?と考え、バッグの中で眠っていた折り紙を引っ張り出す。

おり方なんてほとんど覚えていないし、芸術センスの欠けたオレに何が作れるのか・・・。

記憶の奥底から鶴の製法を呼び起こす。



思い出せ、谷(沖縄編に登場)と行ったアイスランドでのボランティアで散々作ったじゃないか・・・。

一枚目はくしゃくしゃになったので終了。

二枚目で何とかそれらしいものができた。

確かお隣さんはちびが二人いたから・・・と4羽折ることに。


だんだんクオリティが上がっていきついに完成!

お隣さんに届けに行くと、奥さんが「わぁーお、おりがーみ」
と折り紙を知っている様子。

「ほら、オレ何にもお返しにあげられるものもってないんで・・。」

というと、「こりゃビールよりいいわ」と喜んでくれた様子。


一つの缶詰でこんなにもコミュニケーションにつながるとは思ってもみなかった。

これからは困った時にはひとりで解決しようと頑張りすぎず、人を頼ってみよう。


ひさしぶりに幸福な気持ちで眠りにつけた夜だった。

(29日目 走行距離120km