MASI俊樹ラーメン一杯に泣く


2011/08/27  12:51
鹿児島中央駅内のラーメン屋で

ナガセにおごってもらったオレは、
 
これから市内観光をするという2人に見送られ、
 
鹿児島市から自転車と人間で250円で渡れるフェリーで

桜島へと渡った。
 
 
 
 
しかし、着いたとたんに大雨。
 
 
再び1人での旅が始まった事を寂しく思う暇もないぐらい
 
雨の中を駆け抜けた。
 
 
 
今日の目的地は本州最南端の佐多岬。
 
 
やはり鹿児島県に来たら間違いなく、
 
ほとんどの旅人が目指す場所だと思う。
 
 
佐多岬までは約100km。
 
早めの昼食のおかげで12時に出発できた。


 
フェリーの中で十二分に休んだのでうまく行けば17時半には着けるペースで走れるはず。
 
 
とにかく走った。
 
 
桜島を横断した頃に雨は止み、

そして途中から追い風になり、
 
かなり良いペース。
 
 
 
やはり一番端に向かっている。
 
 
どんどん何もなくなっていく。
 
 
そして16時頃、
 
 
  辺りは完全に山の中になった。 
2011082017030000

 
 
そこからがまさに地獄!
 
 
かなり厳しい登りがひたすら続いた。
 
 
 
それはもはや峠のレベルではなく、
 
 
まさに山脈、 気分はアルプス越えのようだった!
 
 
佐多岬まではあと20km。  
 
もう引き返すことは出来ない。
 
 
 
なんでこんな所に来ちまったんだ…
 
 
座って漕いでいられず、立ち漕ぎ主体になってしまう。



本来、時間制限なく長距離を走り続ける場合には禁じ手の立ち漕ぎだが、


四の五の言っていられる場合ではない。


下手したら、止まるどころかコケていろいろ折れる!

心とか。


心とか。
 


あと、超瀕死状態の後ろの荷台とか。



17時を過ぎた頃、ようやく目的地が近づいてきた。
 
 
しかし、まだまだ続く地獄のアップダウン。
 
 
 
ものすごい坂を下ったところで佐多岬まであと2,5kmの看板が! 
2011082018040000

 
 
よっしゃ!この坂を上れば着く…ぞ?
 
 
 
ん?
 
 
なぜか門がある。
 
 
 
      営業時間…      9時〜17時…… 
2011082017380000

 
 
奥で手を振るおばあさんの姿。
 
 
 
「ごめんね〜、今日はもう終わりなの〜」
 
 
 
 
!?
 
 
なん…だと?
 
目の前が真っ白になって、気づいたらポケモンセンターの前にいるんじゃないかと思った!!!!!
 
 
 
まさかまさかの営業時間外。
 
 
時計は無情にも時刻17時半を示している。
 
 
 
 
しばらく呆然と立ち尽くした。
 
 
あ、あのラーメンの為に鹿児島市に長々滞在しなければ…



ってか、なんでここをそんな公園にしちゃったの!!!!!?


仕方がないので佐多岬展望公園と書かれた看板の前で写真を撮ってもらった。 
 2011082017310000

 
 
そして、佐多岬到達証明書を105円で購入。
 
 
 
 
オレ、日本最南端の地に行ってきました!! 
 
 
 
 
その後、空虚な気持ちで近くの商店で買い物。
 
 
アイスを購入し、海を見ながら食べた。
 
 
 
そして、あまりにも辛かったので谷に電話。
 
 
 
オレ、もうダメかもしれない…
 
事情を説明する。
 

すると彼は、
 
 
 
お前、アホやし、ホンマ死なんように気ぃつけろよ。
 
 
 
お、おう…(汗
 
 
1週間でアホだとバレてしまった…

でも、少し元気を取り戻した。 
 
 
 
その後気合いで来た道を戻り、  
 
T字路に出くわす。
 
 
 
この時、地図をどこにやったか完全に見失っていたオレは、
 
 
来た道を戻るヤツは馬鹿だ精神の下、
 
 
来た道とは違う方へ進んだ。
 
 
早めに逆サイドの海沿いに行けばそれだけ早く宮崎に着くと思ったのだ。
 
 
 
オレは完全に馬鹿だった。
 
 
九州地方はやはり千葉と比べてかなり西側にあるためか、
 
 
日が沈むのがだいぶ遅く、
 
19時過ぎてもけっこう明るいくらいだった。
 
 
なので、その日の内にできるだけ進む作戦を取ったのだ。
 
 
 
進んだ道は、
海が近いせいか、
 
 
行きと違ってどんどん下って行った。
 
 
 
そして、海沿いを少し走ると、
今度は内陸部へと上り坂を進んだ。
 
 
 
すると、なぜか途中で国道(県道?)がスパッと消えた!
 
 
 
ええっ!?
動揺を隠しきれないが男の勘で進んだ。
 
 
わけのわからない細い道を行くと、
 
田んぼに囲まれた集落に出た。
 
 
 
いつの間にかあたりは完全に真っ暗。
 
 
しかも完全に迷った。
 
 
今出くわした道はいったいどこに繋がっているのか…
 
 
疲れと道に迷ったことと、
暗闇でどんどん恐怖が増した。
 
 
とりあえず右折して進むと海に出て、道が消滅。
 
 
 
ならば逆方向しかない。 

パニックに陥りそうな自分を必死に押さえつけた。


だけどこんな暗闇で今から山越えは危険すぎる。
 
 
奇跡的にすぐ近くに小学校があったので、
そこで野宿し、
朝を迎えた。
 
 
 
とりあえず朝飯を喰う。
 
といっても、持っていたのは飲み物とウィダーとカリカリ梅と、スッパイマンのみ。
 
とりあえずウィダーで山越えの為のエネルギーをなんとか得た。
 
 
 
はずだった。
 
 
が、どこまで行っても上りは続き、
 
しかもコンビニどころか民家すらない。
 
 
どんどん体力を消耗し、 腹は鳴るわ、
足は動かないわでどんどん状況が悪化していった。 
 
 
空腹と終わりの見えない坂道と民家も何も無い状況で、
オレは絶望感と、諦めの気持ちに心を覆われてしまった…
 
 
もうダメだ。
限界がきちまった。
 
 
もうチャリで坂を上る気力もなく、
ひたすら押し続けた。
 
 
立ち止まりたくなかった。
だからなんとか必死に、 歯を喰いしばって進んだ。
 
最後の力を振り絞ってチャリにまたがり、ペダルを踏んだ。
 
 
すると目の前に地域の新鮮野菜を売る店が!
 

助かった…
 
 
よろめきながら中に入るとおばちゃんがスイカをくれた。
 
 
うまい…
 
涙が溢れそうになった。  
 
そのおばちゃんはとてもお世話上手な方で、
次々とくるおじいちゃん、おばあちゃんと仲良く世間話をしながら店を切り盛りしていた。
 
 
 
おばちゃんは、
スイカだけではなく、
持っていたお菓子と塩ゆでした落花生もくれた。
 
 
胃が次々と満たされていく。
 
 
オレはおばちゃんに何度もお礼を言い、
力を取り戻した脚で進んだ。
 
 
そして、行きに通った道に繋がる抜け道を見つけ、  
安全で平坦な道を進むことができた。
 
 
その日は、おばちゃんとそのお客さん達の優しさが背中を押してくれて、
 
 
一気に宮崎市まで走れた。
 
 
ありがとう。
 
 
-END-
走行距離
18日目
鹿児島市〜佐多岬〜郡小学校
126,43km
 
19日目
郡小学校〜宮崎市内の高校206,09km